Happy Valentine!!2019

□Be my Valentine!
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「おはよう。よく眠れたか?」

「秀一さんが起こしてくれるまで、ぐっすり眠れました」

「それは良かった。今日も仕事、頑張っておいで……」

「はぁ〜い」

「I'm always thinking about you even though we are apart. With all my love…xx」

(離れていても、いつも君を想ってるよ。愛を込めて…チュッ)

「アハハ。今日もゲロ甘だ」

「そう照れるな、本当は君からもキスを返して欲しいと言いたいところだが、支度もあるだろ?そろそろ切るぞ」

「あ……秀一さん、私、モーニングコールだけで充分幸せだから…………。ありがとう。お、おやすみなさい!!」

電話でキスしろなんて、無理難題を吹っ掛けてきた!!切る直前まで電話の向こうで秀一さんの笑い声が聞こえた。

本国に一時帰国中の秀一さんは、クワンティコ本部ではデスクワーク中心らしくこうしてほぼ毎朝、甘い愛の言葉を連発した電話をくれるから寂しくなかった。
次の日の電話では、バレンタインデー当日の朝はモーニングコールは出来ないから、代わりに花束を贈る!!と言っていた。
(勿論、お断りを申し出たけど、論破されてしまった)

秀一さんとバレンタインデーは一緒に過ごせないけど、それも仕方のないこと、と思っている。
日本に戻ってきたら、手作りチョコを渡そうと、サプライズを計画中だ。

そうして迎えた14日。
いつも、必ず鳴る朝の着信音は聞こえずに、普段と変わらず倅なく業務をこなして帰宅した。

着替えるのも気だるくて、ベッドに倒れ込んだその時、バックの中で携帯が鳴っている。

ディスプレイの表示を見て思わず飛び起きた。
向こうは多分、朝のはず……なのに。

堪らず頬が緩んでしまう。

「秀一さん?」

「あぁ。もう、家に着いた頃だと思ってね。花束は届いたかな?」

「えっ……と、まだみたい」

時間指定をしていたのかな?秀一さんと話している途中で、タイミング良くインターフォンが鳴った。

「あっ。今、来たのかも!待ってて、秀一さん」

モニターも確認せずに、携帯を片手に玄関に駆け寄ってそのまま、ドアを開けた。


「ただいま」

ドアを開けた先、視界に映るのは笑顔で花束を持った秀一さんだった。

花屋さんだとばかり思っていたから、頭が混乱してうまく言葉が出なかった。それよりも先に、身体が勝手に動いて秀一さんに抱きついた。

「お帰りなさい……って、なんで?秀一さん、いつから日本にいたの?」

「ほんの数時間前に着いたばかりだよ。ちゃんと仕事を終わらせてきた。予定通りのスケジュールだ。君を驚かせたくてね。内緒にしていたことは悪かったと思っている」

「うん。びっくりした……」

額に頬にとキスを落とされて勝手に涙が溢れだす。
抱きしめてくれる、大切な人の存在を改めて思い知った。

「寂しくない……って、本当は言い聞かせてだけだったの」

「そうか」

「本当は、ずっと会いたかった……」

「I feel exactly the same way.」

「…………秀一さんも同じ気持ちだったの?」

そっと窺うように顔を上げたら、今までに見たことのないくらい優しげなグリーンの瞳で見つめ返され、言葉よりも行動で示すなんて、秀一さんらしいと思う。



静かに重なり合った唇から、確かな愛を感じるのだった。


「Be my Valentine!」

(バレンタインを一緒に過ごそう)



END


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