名探偵コナン
□雪の降る日
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日本列島上空を真冬並みの寒気が南下している影響で、関東地方の平野部でも雪が降った。
気温も関東各地で真冬並みの寒さだ。
もう、4月だというのに…。
「すごいよね!!零くん?先週さくらが満開になったのに、まさか今日は雪なんて……。ダメだ。寒くて、凍えそう」
「とりあえず、炬燵に入ったらどうだ?」
朝から段々と景色は白色に染まり始めて、都内近郊がうっすらと、雪化粧をしていた。
窓の外では、いまだに水気を含んだ重たそうな雪が舞っている。
寒さに震えながら夏帆が帰宅すると、マンションのエントランスで、偶然降谷と一緒になり「珍しいこともあるんだね」と、笑いながら部屋に入った。
今日は、定時退庁出来て良かったと思いつつ、降谷がネクタイを緩めながら一息つくと、
夏帆は天気ニュースを見ながら、すっかり冷えた身体を炬燵に入って暖めている。
「うわぁ。炬燵も寒いよ、零くん…。」
「今、入れたばっかりだろ?もう少し我慢しろよ。夏帆」
寒がりにも程がある。呆れた口調で降谷も炬燵に入ると、
もはや、身体ごとすっぽりと炬燵に潜り込み、首だけ出した状態の夏帆に、降谷は苦笑いを溢し右手を伸ばした。
「鼻が赤くなってる」
「ちょ、いたい!」
冷えた鼻先を降谷の指先が触れた。
と、思ったら…そのままギュッとつままれた。
しかし、その手は思いの外、すごく温かい。
「零くんの手のひら、カイロみたい」
「そうか?」
先ほどまで外気に晒されていた頬を触れられると、じんわりと降谷の熱が伝わる気がしてくる。
そのまま、髪を優しく丁寧に、ゆっくりゆっくりと、何度も撫でられたのだった。
「れーくん。それ、もっとして」
「気に入ったのか……」
「うん」
なんとも心地の良い、降谷の手のひらを存分に堪能する。
こんなにも甘やかされるのなら、季節外れの春の雪も悪くない。
窓の外に映るさくらの花弁に、薄く積もった雪を眺める。
滅多にない綺麗な風景に、幸せを噛みしめてみるのだった。
END