名探偵コナン

□SherlockianとPotterian
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休日の夜はのんびりと、ベッドの上で寛ぎながらお気に入りの小説を読む。
最近は日暮れも早くなって、まさに読書にぴったりな季節になった。

愛読書を囲んで至福の時間を満喫しているのは、私じゃなくて……。
赤井さんなんだけど。

お風呂を済ませて寝室に入ると、既に赤井さんはベッドの上にいる。
クッションに背中を預け、スラリと伸びた足を投げ出したまま本に没頭している姿は、無駄に格好いい。

"A Study in Scarlet"
と、書かれたタイトルは、確か"緋色の研究"と日本では翻訳されていたはず。

赤井さんが読んでいるのは、どうやらシャーロックホームズの原書のようだ。
さすが英国育ち。
私は英文を読むのに時間がかかってしまうから、正直苦手だ。

赤井さんの様子を窺えば、顎に指を添えて時折真剣な表情を見せている。
既にホームズの世界に入り混んでいるようだ。

暫くは相手にしてもらえそうにもないから、私も大人しく読書をすることにした。
ゴロンとベッドに身を投げて、赤井さんの隣で横になる。

「……………………」

何を云うわけでもなく、よしよしと、褒めるように頭を撫で回されたあと、赤井さんの左手がゆっくりと離れていった。
再び本に集中したみたいで、頁を捲る紙の音が聞こえ始めた。



"ハリーポッターとアズカバンの囚人"

手にした本は、お気に入りのハリーポッターだ。
勿論、私が読むのは日本語の翻訳版

今度公開になる魔法映画に合わせて、再びハリポタの世界観を確認したくなって、読み返すことにした。

読む度に、ちゃっかり自分をストーリーの中のモブとして登場させてしまう妄想力が鍛えられている。
あっという間に魔法の世界へと引き込まれるのだから、不思議。

特に、ルーピン先生の初授業シーンは大好きだ。


"みんな、ちょっと考えてくれるかい。何が一番怖いかって。そして、その姿をどうやったらおかしな姿に変えられるか、想像してみて……"


読みながらルーピン先生の問に、自分の怖いものはなんだろう?と、フルに頭を働かせる。
妄想力も一緒に爆発させれば……。

まね妖怪は、恐らく赤井さんに変身するだろう。

瞳孔全開のガチギレした赤井さんも十分に怖いだろうけど……。

何処か、遠くに行ってしまう赤井さんの姿が目に浮かぶ。

私が、一番恐ろしいと思うのは、赤井さんを失うことだ。
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