名探偵コナン

□9.10の日
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「ボウヤ……じゃなかった。新一?大丈夫か?ボーっとして」

名前を呼ばれて、ハッとした。
あれ?俺…………。今まで何してたんだっけ?

目の前で、涼しい顔でコーヒーを飲んでいる人物に俺はギョッとする。

「あ、赤井さん…………?」

「工藤新一くん。そろそろ、返事を聞かせてくれないか?俺は、待ったつもりだぞ?」

「へっ?」

ここ、ポアロだろ?チラリと横目で確認すると、ほらぁ……。
安室さんが、ひきつった笑顔でコッチを見てるじゃないか!!

てか、待てよ。

何で赤井さんは、沖矢昴の変装もせずに姿を晒して俺の本名まで知ってんだ?
窓硝子に映る自分の容姿を見て更にギョッとした。

ん、んんん……?俺、元の身体に戻ってる。
ポカンとしたまま、正面の赤井さんを見つめても、相も変わらずなポーカーフェイスで読み取れない。
正直、赤井さんの質問の意味が俺には理解出来ないのだが。

口を開きかけると、安室さんがハムサンドを運んできた。


「赤井、あんまり新一くんを困らせるなよ。ゆっくり考えていいと言ったじゃないか」

「しかし、降谷くん……」

お皿をテーブルに置きながら、安室さんはグイグイと赤井さんを押し詰め、何事もなく隣に座ったのだ。

何かがおかしい……。
安室さんまで、俺を新一と呼ぶし、
あれだけ仲の悪い二人が肩を並べて、ニコニコと笑い目の前に座っているのだ。
奇妙な光景に、思わず絶句する。

「FBIが新一くんを欲しがる気持ちも分からなくはないが、黙って日本の警察が彼を譲る筈もないと、散々言い合ったじゃないですか。」

口調穏やかに安室さんが、赤井さんを窘めている!?
いつもなら、赤井さんの胸ぐら掴んで怒鳴っていてもおかしくない状況だろ……。

「FBIとか、日本の警察とかって何のことですか?」

概ね察しは付いたが、あまりにも置いてきぼりを食った感じで、何だか腹が立つ。
じっ……と、二人を見つめると、逆に揃って見つめ返された。

え? 俺、なんかマズイこと言ったか?

無駄に威圧感が半端ない。

「大学卒業後、FBIに来ないかと誘ったのを忘れたか?」

静かにカップを置く赤井さんの隣、安室さんに視線移すと

「是非とも公安に、以下略」

しれっと、言いやがった。
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