名探偵コナン
□反抗的なマイガール
1ページ/4ページ
最近、『女性警察官連続殺人事件』が発生し世間を震撼させている。
同じ警察官として……女性としても、卑劣な犯人を捕まえたい!!
そう願っても、私は直接事件を調査出来ない部署に属している。
「君は、今回の事件に首を突っ込むなよ?上司命令だ」
「はい。分かっています」
敏い上司に確りと釘を刺され、さすがにその場は大人の対応を見せたが、憤りを感じていた。
そう簡単に納得できるはずもなく、退庁した後は真っ直ぐに家に帰る気にもならず、足の向くままに歩けば事件現場のすぐ近くまで来てしまった。
我ながら呆れてしまうが、ここまで来たのだから現場を見て帰らないと私の性格上、気になって仕方なくなる。
「バレなきゃ平気かな?」
首を突っ込むな!と忠告されていたことなど都合よく忘れることにした。
意を決して公園に一歩踏み入れると、辺りは薄暗く鬱蒼とした木々が繁り不気味な雰囲気だ。
黄昏時をとうに過ぎ夕闇となった今は事件直後のせいか人の往来もない。
なのに、公園内を歩き始めた直後から背後に人の気配を感じる。
神経を集中させながら、然り気無く探りを入れるとカツカツと足音が聞こえ誰かが後をつけているのが分かった。
ただ、それだけではなく……。
もう1人誰かいる?気がする。
こちらは微かな気配で姿が見当たらない。
勘というか、疑念であって確証が持てなかった。
「ふぅ〜っ……」
小さく一呼吸吐いて、唇を噛み締めた。
大丈夫。私は警察官。
被害にあった彼女達の無念を晴らしたい!
……正義感と言ったら大袈裟かもしれないが、今、私を奮い立たせているのは確実にそういう信念みたいなものだった。
規則的な足音が2つ繰り返され、やがてピタリと背後の足音が止まった。
(………………ん?)
このまま、先を歩き続ければ事件現場を通り過ぎる。
大通りに面したら此方のもの。怪しい動きをしたら、職質に掛ければいい。
後をつけて来た人物像を意識した。
痴漢かひったくりか?
もしかしたら、犯人……という可能性もある。
熟慮していると、足を止めた人物はそのまま、引き返していくように足音が退いて行った。
逃げて行った?
予測が外れ、迷いが生じる。
しかし、振り返るなら今だ。
せめて、不審者としての特徴だけでも掴んでおきたい。
「うっ……」
振り向いた瞬間、咄嗟に口を布で覆われ、ドンと後頭部が硬い胸板に当たり羽交い締めにされる
体格的に男。
もう1人の存在が、私の思い過ごしではなかったことを、身をもって突き付けられたのだ。
真後ろにいるなんて……。
油断した!!と、思うと同時に口に当てられたものが、ハンカチであることに気づく。
しかし、薬品類は染み込まれておらず、単に大声を挙げないように抑えつける為のもの?
そこからヒントを得ると、ほんのり香るフレグランスは最近、よく傍にいる人物と同じものだ。
こんな超絶技巧が出来るのは……。
"誰か"を察した瞬間、見計らったようにスッと口元から手が離れ自由になった。
「うわっ!?」
解放された……。
安堵したのも束の間、今度は身体を抱き上げられ、やけに幅のある片肩に上半身を乗せられると、暴れないように両足は腕を廻され固定された。
体を2つ折りにされたような体勢だ。
荷物のように担がれているというのが正しいかも知れない。
「…………………………。」
私は……。
私は……、多分。
殺人犯や変質者よりも恐ろしい人物に捕まった。
黒いニット帽
黒い服装
暗闇に全身黒ずくめな様相は……
「……赤井さん。何してくれてるんですか……説明してください」
「君こそ、何故こんな処にいる。降谷くんに首を突っ込むな、と忠告されたと聞いているが?説明してくれ……」
淡々とした口調と態度から赤井さんが怒っていることは明白だった。
さすが降谷さんだ……。
こうなると、見越して根回ししたな!!
赤井さんに尾行を頼むとは。
いや、なんで?赤井さんとの交際が降谷さんに知れているのだろう。
この二人、裏で結託してるのか?
「とりあえず、降ろして下さい。話はそれから……」
「断る」
当たり前のように返されて、一瞬思考が停止した。
next→