名探偵コナン

□とある降谷と同棲生活
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「おかえり夏帆、ほら?」

「…た、ただいま。ありがとうございます。」

玄関先で、用意されていたタオルを受け取り、なんて出来た人なんだ!と、じーんと感動する私とは反対に……

出迎えて、タオルを渡してくれた降谷さんの表情は、…険しい。

「夏帆、朝、俺には傘を持って行けって言わなかったか?」

「言いました。夜には雨の予報だったので」

「なんで、自分は傘を持たずに仕事に行くんだ?」

「早く、帰るつもりでした」


びしょ濡れとまではいかないが、冷雨に濡れた髪を拭きながら、ちょっと怒ってる降谷さんの背中を目で追いかけ、言い訳しながら部屋に入った。

リビングにまで届く、ビーフシチューの香りが、空腹のお腹を刺激する。
今朝、自分で用意していったものなのだけど…。

「降谷さん、温めてくれたんですね?」

「ん?早く帰ってきたからな。序でにサラダとスープも作っておいた」

「ありがとうございます。お腹へった〜」

キッチンへ、降谷さんの後に続いて入ろうとすると、振り返った降谷さんの顔と口調は呆れ気味だった。


「夏帆は先ず、お風呂だろ?冷えた身体を暖めないと!」

「え、と。はい」

お風呂まで沸かしてある?
なんて、至れり尽くせり……。
私の傘が置いてあることに気づいてから、ここまで機転を利かせる降谷さんは、

「なんだか…お母さん」

「苦労しただろうな、夏帆のお母さん。世話がかかる娘で」

「う…。言い返せません。お風呂に行ってきます」

「ん。いい子だ」

お玉を片手に風呂へ行けと、促す降谷さんの姿は妙に似合う。
なんでだろ?

完全に子供扱いされてくやしいけど…荷物を置いてから渋々、バスルームに向かった。



―――――――



「アナタは、もう…忘れたかしら?〜♪……………………ただ、アナタの優しさが怖かった。」


湯船に浸かって、充分とリラックスしながら、思わず口ずさんだのは、失恋ソングだ。

あれ…無意識に優しさが怖いのか?
冷雨に濡れて、芯まで冷えたから?
にしても…曲のチョイスが単純すぎると自覚する。
確り身体を暖めてから湯船を出ると、
逆上せ気味の頭をクールダウンさせるため、寝室の鏡の前で、本来なら髪に当てるべきドライヤーの涼風を顔に向けて目を閉じた。


「はぁ。…涼しい」


「お前は、ドライヤーの使い方を知らないのか?」

背後頭上から届く声は、ドライヤーの音にも負けずよく通る聞き慣れた声だった
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