名探偵コナン
□お膝の上で……。
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「今日は、…………疲れました」
帰宅して開口一番の台詞がコレとは、自分でも情けないとは思うけど仕方ない。
金曜日ともなれば、気力体力ともにヘトヘトだった。
「お帰りなさい」
「ただいま」
癒しの力を持つ笑顔の安室さんに出迎えられてつい、弱音を吐いたのだ。
早々に夕食とお風呂を済ませ、安室さんよりも先にベッドに横たわった。
「安室さん、おやすみなさい。今日は先に寝ます」
「おやすみなさい、夏帆ちゃん。僕は、依頼人への報告書をもう少し仕上げてから寝ますね」
「はーい」
ベッドサイドの灯りのみにして、安室さんはパタンと寝室のドアを閉めて出ていった。
室内の心地よい静寂と、ふかふかのお布団。
眠りに落ちるのも時間の問題。
そう、思っていたのに……。
「ん、んん……眠れない」
ゴロゴロと何度となく寝返りを打つ。
身体は疲れて置き場のないくらいなのに、頭はしっかりと冴えている。
なんともちぐはぐな状況に苦しむこと…………2時間。
早く寝ようと思うほど、焦って眠れない ジレンマに嵌まっていた。
仕方なくベッドを抜け出して、キッチンに向かうと、冷蔵庫から牛乳を探す。
子供の頃から、眠れない時はホットミルクを作って飲むと、よく眠れる。
「あれ?牛乳ないの……?」
牛乳を切らしていること知り、どうしたものかと思案していると、キッチンに安室さんもやって来た。
「眠れないんですか?」
隣に並んだ安室さんに経緯を話せば、もっと早く言ってくれたら、一緒に寝てあげたのに……と、冗談か本気か分からない台詞と共に頭を撫でられた。
「そうだな……」
思慮した後に安室さんは小さく呟くと、にっこりと笑ってみせる。
「僕に任せてくれますか?夏帆ちゃんは、リビングで待ってて下さい」
安室さんの意図は読めないが、任せて失敗することなんて、全くない。
むしろ、求めた以上に完璧なものを与えてくれる。
安室さんに言われた通り、私はリビングで待つことにした。