ハイキュー!!
□何p?
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男子は引いて女子は足して……。
キスしやすい身長差12p
理想のカップルの身長差15p
…………
……
……ぎゅっとしやすい身長差22p?
「んー、なるほどね!」
大きく頷いた名無しの雑学レベルが、1つ上がった。
「名無し、歩きスマホは止めなさいよ、転けるぞ」
「はーい」
一緒に下校中の澤村から注意をされると、名無しはバックに携帯をしまいながら今、得た知識を活用しなくては!と閃いた。
「ねぇ、大地って身長いくつ?」
「身長?……聞くのかよ。176だけど?」
澤村はバレー部の後輩たちよりも、些か身長が低いのを気にしている様子だが、高校3年男子の平均値よりは十分な背丈だ。
名無しと並ぶと身長差は、かなりある。
「うーんと。大地!?12p以上もあるよ?ねぇ、もうちょい縮まない?」
「はぁ?何言ってんの、名無し」
「ひっ……」
澤村の本気のような冷たい視線に、背筋がヒヤリとする。
バカか?と、静かな怒りを含んだ澤村の威圧に名無しは、冗談です。と即答した。
「で、身長差がどうしたって?」
柔和な態度に改めた澤村に問われ、名無しが脳内で計算した身長差と意味を、得意気に説明をすれば、澤村は声をあげて笑った。
「名無しと、俺の身長差が16センチだから……キスも理想のカップルにも、当てはまらないってことか」
「そうだよ。大地、縮んでよ!!」
「ムリだろ、名無しが身長伸ばせばいいいだろ?」
澤村が手が、名無しの頭をわしゃわしゃと、ふざけて撫でてくる。
何気無いじゃれ合いに名無しは、ふと続きを思い出した。
「だ、大地!」
「な、なに?」
「なでなで、して?」
「こう?」
名無しの勢いに押され、思わず澤村が言われた通りに頭を撫でてやる。
先程のような力任せ、ではなく。
優しく丁寧に……。
「なでなでしやすい身長差16p!だった」
へへっ……。と嬉しそうに笑う名無しに澤村は、そうか。と目を丸くして返事をすると、今まで名無しの頭を撫でていた自分の右手をじっ……と、見つめた。
今まで意識したことはなかったが、言われてみれば、ちょうど手を伸ばした先に、名無しの頭があって触れやすかった。
澤村にとって、キスやハグよりも、容易く自然なスキンシップのつもりだった。
だがそれは、名無しへの無意識な愛情表現だったことに今更ながら自覚したのだった。
「身長差、確かに侮れないな」
澤村がニヤニヤと口元を緩めている。
珍しいこともある……。心内で思いながら名無しは微笑むと、歩を進めて澤村の隣に並んでみた。
「あと、1センチ伸ばすから、待っててね?大地!」
「無理しなくて、いいよ」
目指せ!理想のカップル。
意気込む名無しが愛しくて、澤村は再び手を伸ばすと、名無しの頭をわしわしゃと、親しみと愛情を込めて撫でてやる。
「ちょ、それ止めてよ!大地!!髪が乱れるんだからね?」
不満を爆発させる名無しに、ゴメンゴメンと楽しそうに口先だけで謝る澤村は、前後左右と乱れ飛んだ名無しの髪を整えてやると、おもむろに自分の右手を差し出した。
「名無し、たまには……手を繋いで帰るか?」
「うん!」
澤村の申し出に名無しは喜んで、すっかり冷えてしまった指先を絡めるとピッタリとくっつき歩き始めた。
「大地との距離は0センチ(物理)」
「それだけじゃ、ないけどな?」
澤村と一緒に帰れるのは、テスト期間の部活が休みになる時だけなのだ。
今だけは、名無しが澤村を独り占めにできる幸せな時間だった。
澤村と心の距離も0センチ