ハイキュー!!

□シマー・ツッキーの先輩とレイブン・クロオ
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「なぁ、スガ。最近、夜間の見廻りが随分楽になったと思わないか?」

「そう…だね。見廻り強化月間命令のおかげだなぁ。ニシノヤとタナカにも、寮から出ないように五寸釘を刺してきたし(物理)消灯後の徘徊者が減ってダイチも助かるべ?」

「いや、ダメだろスガ!!後輩を張り付けちゃ……」

スガワラのえげつない対応策に、思わずサワムラは苦言を呈した。

「大丈夫。今回もエンノシタに任せて来たから」

「(今回も?)そっか。それなら安心した」

今頃、エンノシタが二人を解放しているはずだ。
歩きながら妙に納得した面持ちのサワムラの隣で、スガワラも得意げに頷いた。

それには理由があった。

校内バリボール大会で優勝したとはいえ、寮杯を競う為に大広間に掲げられたグリフィンドール寮の砂時計の中身が、再び激しく減っているのだ。
寮杯成績はグリフィンドールがまたもや独走のワスート1位を示している。

大半は猪突猛進な単細胞バカ達が減点されたものだ。
減点!減点!!の嵐に頭を抱えた寮監の武田先生は、緊急対策を打って出た。

各学年の監督生を召集し、夜間の…特に消灯後の寮外への外出は取り締まるように通達したのだった。
お陰で、砂時計の中身も少しずつ戻り始めている。

しかし、まだ他の寮には勝てていない。
現在首位のスリザリン(青城)オイカワのドヤ顔がサワムラとスガワラの脳裏に浮かんだ。

「オイカワ、超ムカつく。実質スリザリンのボスはイワイズミたべ?」

「全くだ。だけど、俺はオイカワよりレイブン・クロォーの方がムカつくな」

「ブハッ。ダイチ、暴言!レイブンクロー(音駒)のクロオだべ?」


階段を下りながら、スガワラとサワムラは地下牢教室の前までやってきた。
スリザリンのテリトリーである地下フロアに自寮の生徒が彷徨いているはずもないと知りながら、真面目な二人は確認を怠れなかった。

意気込みに欠けるが、石畳の廊下を二人は歩き出した。

「うっ、やっぱ寒いなぁ?地下室はよおぉー!!早く談話室に戻りたい!!ソファでゴロゴロしたい!!」

「そう、グズるなよスガ。あんまり騒ぐとスネイプ教授に見つかるぞ」

「え、。俺、あの教授苦手……」

「得意な奴なんて、いないだろ。グリフィンドール生は特にな」

スネイプからグリフィンドール生が理不尽な扱いを受けるのは、本家ハリポタの宿命だ。
「今に始まったことじゃないだろ?いい加減に慣れろよ」と、サワムラが苦笑いを溢したその時。


「おや?おやおやおや〜?もしかして……"罰則大好き!グリフィンドール"の、監督生サームラ君。じゃないですか?うぇ〜い」

突如、猫なで声が背後から、聞こえてくる。
その声の主はスネイプ教授ではなく、例のレイブンクローのクロオだ。

途端、サワムラが露骨に嫌な顔をして振り返った。

「これは、これは。クロー君じゃないですか。こんな時間に地下を彷徨くなんて、もしや問題(クイズ)が解けなくて寮から閉め出されたんですか?」

どちらもバリボールのチームキャプテンで、監督生という役割まで一緒の二人は、顔を合わせる度に丁々発止の口撃を始める。
これは、通常運転だ。

決して仲が悪いわけではないのだが。

「あっれれ〜?サームラくんは迷子ですかぁ〜?優しい僕が(笑)寮まで送り届けてあげましょうか?」

「ふざけるな。俺達は見廻りだ。コナン君似てねぇし!」

「あっれれ〜?(似てるだろーが)奇遇ですねぇ!僕達レイブンクローにも見廻り令が出たんですよね。どっかのダメフィンドールのおかげで……」

「はぁ?僕達って、ヤク君を置き去りにしてるじゃないか?」

「それを言うなら、サームラ君もスガちゃん忘れてるでしょ?ブーメランご存知?」

普段、後輩に見せる威厳も皆無。
同級生同士になると、アホの先鋭と化するのは何故だろう?
言い争いを拗らせて、二人はスタスタと早足に階段を上がっていく。

「ダイチがごめんなー。ヤッくん」

「いやいや、あれは絡みに行ったクロオが悪いって!あとで蹴り入れとくから……」

遠退くサワムラとクロオの姿を目で追いながら、
取り残されたスガワラは、クロオと一緒に来ていたヤクと顔を見合わせて、互いに溜め息を溢した。

大広間の前まで勢い良く駆け上がったサワムラとクロオが、スネイプ教授とバッタリ出くわして、両方とも減点されることになるとは、まだ知る由もなかった。



END


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