ハリポタ(短編)
□HoneyTrap*Triangular kissA
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朝食時の大広間は生徒達で溢れ、賑やかないつもの食事の風景だ。
僕達を除いては…。
あの後―
シリウスは驚きの声を上げるたび、二日酔いの頭に響きぐったりしていた。(…自爆なんだけど)
「なっ!んで…俺が?ぐぁ…頭、痛ってぇ…。つーか、ピーター、鏡を貸せ!」
「まっ!まんま、リーマスじゃ、…つぅ〜痛ぇ…頭が…」
「シリウス、大声出さない方がいいよ。その頭痛の辛さは僕にだって分かるさ、だって僕の体なんだし」
同情の眼差しでシリウスを慰めても、目の前にいるのは、僕なんだよな…滅茶苦茶、違和感有りすぎる。
「よく、落ち着いて居られるな?リーマス」
「一頻り、君が起きる前に騒いでおいたからね」
というよりも、さっきから騒ぎながら痛みに悶えてる、自分の姿が滑稽で、阿呆らしくて…。一緒に騒ぎ立てるテンションも失せてしまったってのが本音だ。
「リーマス。どーやって、戻るんだよ?」
微妙な温度差を感じ取ったシリウスが僕に聞いた。
「さあね。」
「じゃ、どーやって入れ替わったんだよ?」
「さあね。 僕にだって分かるもんか。朝、目が醒めたらシリウスになってたんだ」
「……ちょっと待って!?」
話に割って入ってきたのはジェームズだった。
「君たちの話を聞くに…もしかして…コレは!?」
「「もしかして!?」」
やっぱり、病気か?
それとも、呪いか?
なにか答えでも知っているのだろうか?
やけに確信的な物言いのジェームズに向き直り、僕とシリウスが声を揃えて詰め寄った。
「君たち、中身が入れ替わってんの?」
僕らの勢いに圧倒されることなく、ジェームズはどことなく楽しそうな口振りだった(空気読めよ。このクソ眼鏡 め!)
「はぁー…?」
「なんだよ、今更っ、うっ。て、頭がガンガンする」
期待した僕がバカだった。
肩を竦めてやれやれとため息をつく。
舌打ちしなかっただけ有り難いと思ってくれていいよ。
「ちょっと、二人とも気が立ってないかい?僕とピーターは今まで置いてきぼりを喰ったんだぞ?しかも、半分信じられない話でっ!」
ジェームズは、ズレてない眼鏡のフレームをわざとらしく直して、イラッとしてるその場の空気を取り繕うのに躍起になっていた。
確かに、ジェームズの言い分も分かるが…。
二人でヒートアップした結果、
勝手にオーバーヒート(これまた、自爆だな)
知らず知らずに暴走傾向だったと言うわけか…。
それは、シリウスも同じことを考えていたようだ。
「そーかよ。悪かったな。でも、こんな面倒な冗談を朝から俺とリーマスがすると思うか?」
冷静に淡々とした口調で、シリウスにしては、珍しくまともな意見だった。
「確かに…その通りだよ」
納得した面持ちでジェームズは頷き、ピーターは僕らの会話に目玉を行ったり来たりさせていた。
それから…
「兎に角、朝食を摂りに行こう!頭に糖分を入れないと!いい考えも思いつかない」
ジェームズの提案に僕も賛成した。
シリウスは…その前に医務室に行きたいとか言った気もするが、まぁ…僕達は一緒に大広間に向かったのだった。