ハリポタ(短編)

□彼の名は鬼灯
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彼の名は鬼灯

日曜日の夕食の時間

ホグワーツの大広間は、いつもに増して賑わっていた


マクゴナガル教授とスラグホーン教授の間には、見知らぬ男性が座っており平然と食事をしている

その空間だけ、異国情緒たっぷりに…"彼"は良くも悪くも目立っていた


「なぁ、アイツ誰だ?見たことねぇー奴が居る」

チキンをかじりながら、シリウスが隣の席のジェームズに聞いた


「さっきから、みんな興味津々だよねー、どこのテーブルでも話題になってるよ。先生なんでしょ?何かの…」


冷めてしまったじゃがいもをピーターの皿に移しながら、ジェームズがニヤリと笑った


「…先生?あの顔が?どう見ても、あの仏頂面は先生に向いてねぇーよ。」


「確かに…2、3人は海に沈めてそうな佇まい。髪型は、朝のニュース番組の安心イケメンアナウンサー風だけどね」

既にデザートのプリンを食べていたリーマスもクスっと笑みを零しシリウスに同調した


リーマスまで、そんなことを言うなんて… 関心を持たなかったジェームズが、やっとピーターの皿から教員席の方へ視線を向けると……バチッと"彼"と目が合った



「ひぃっ。こっち見てる…!なんだか僕、に…睨まれてるッ!?」


視線を合わせただけなのに黙殺されそうな眼力にジェームズの背中が思わずゾクリと震えた


「…うん。あの人…シンプルに殺し屋じゃない?目で殺すんだよきっと。百歩譲っても、地上げ屋か借金取りにしか見えない…」


慄くジェームズの真向かいでノエルは同じく"彼"に目で殺されていた

「ちょ……素敵!!」

「マジかよ…」

「…ノエル?どういうつもり?」


呆れ顔のシリウスとイラつくリーマス、各々が複雑な気持ちをノエルに示したところでようやく、ダンブルドア校長が口を開いた


「さて、諸君!ひとつお知らせがある。皆、気になっていた客人を紹介しよう、鬼灯様じゃ。
彼は、遠い日本の地獄の鬼神で居られる。
今回、魔法界の視察を兼ね、我がホグワーツにお見えになった。」

ガヤ力の高いホグワーツ生の100%な拍手が巻き起こり、紹介を受けた鬼灯がスッと冷静に立ち上がった


「皆さん、初めまして。日本の地獄で官吏を務めております鬼灯です。今日は人間の姿をしていますが、私の本来の姿は鬼です。宜しくお願いします。」


本人は、シレっとしたままバリトンボイスを綺麗に響かせた


長身に黒いスーツを着こなし更に黒のネクタイをピシッと締め、その姿は一見サラリーマン風なのだが…

無駄に睨みを効かせた無表情と口調から、確かに冷酷な鬼であると皆が窺い知り、静まり返った


「地獄の…鬼!?あれ、校長の冗談じゃなかったのか!!!」



ざわついていた大広間を一瞬にしてガヤ力0%にした鬼灯は、着席すると、再び食事を続け明日からのホグワーツでの生活に思いを馳せていた









彼の名は鬼灯

END
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