ハリポタ(短編)
□妄想未来図
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「スネイプ教授!一緒に水晶で占いしましょう?」
「…はぁぁ……」
レポートを採点しながら、ため息をついたスネイプ教授
きっと出来の悪い生徒の採点でもしていたんだろうなぁ…なんて、どうでもいい事を考えながら気分転換しましょうよ!と声を掛けた
(そんな、私は…)
「なんだ…君か。君に構う暇はない…即刻、帰りたまえ、見ての通り我輩は忙しい」
(…スネイプ教授の!)
「ちょっと、待って下さい!ヒトの顔見るなり、帰れって!可愛い未来の妻が会いに来たのに…」
(…単なる教え子だ)
突然のビックリ発言に教授は飲んでいたカップをガチャンとひっくり返した
本心を言ったまでなのに、こう…あからさまに拒絶反応を起こされたらさすがに傷つく
「ゲホっ…」
「教授?大丈…」
「夫…な様に見えるのか?この馬鹿者がっ。我が輩は帰れと言ったはずだ」
言葉尻を取られ…ギロッと睨まれるのも、いつものことだ
「だって、教授…教授の帰れは“居ろ”って事でしょ?」
へらって笑うと、ピシッと眉間のシワが深くなって嫌な顔をされても気にしない。居座る術は心得ている。
「解釈が違うだろ。貴様の脳ミソは、どうなっているのだ?もういい…勝手にしろ」
半ば投げやりに、決して機嫌の良い言い方ではないのだが結局、教授は折れるのだ
「やっぱり最後はそうなった」
「何か言ったか?」
「いえ、何も…それでは、勝手に教授の未来を占いますね」
「………」
もはや、返事もしてくれない
呆れた…と、いうより諦めたに近い表情でスネイプ教授の双眼が此方を捉えているのを感じると私は持ってきた水晶玉とにらめっこを始めた
当然、未来なんて見える筈もない…
都合の良いシナリオを用意しただけだ
「教授が…校長になってます!」
「ダンブルドアは、まだピンピンしているぞ、あと100年位は軽くイケるだろ?」
「隣で私が…教授の昇進を喜んでいます。あっ!子供は二人みたいです」
「水晶に映るか!そんなのが…未来というより…妄想だろう?付き合いきれませんな。」
くだらない…
クルッと踵を返して、教授は背を向けてしまった
「我が輩は未来など知りたくない、それは貴様の可笑しな妄想だ。それよりも、自分の未来を案じては如何かね?」
振り返って、ピラと目の前に突き出された一枚の羊皮紙。それは…教授がため息混じりに採点していたものだ
「わ…私のレポートですか?」
「左様。こんな最低なレポート提出しといて、身に覚えもないのか?君は…」
ズズイと薄ら笑いの顔が近づいて、ベルベットな声音が耳元で響くと、何も言い返せなくなった
「君の未来を、我が輩が教えて進ぜよう…」
思ってもみなかった展開にポカンとしている私を見下ろして、教授はサッと離れたかと思うと、新しい羊皮紙一枚と羽根ペンを机に置いた
「一時間後、君はレポートを書き直している」
口角を歪めて笑うスネイプ教授の姿が恐ろしく
思わず背筋が凍りついた
「さてさて…これから、寮に帰って宿題やらないといけませんね。あ!ルーピン先生に質問もあったんだ。あ〜忙しい」
冗談じゃない、レポート書き直しなんて一時間どころか、半日かかるに決まってる
「よくもまぁ…棒読み台詞をツラツラとルーピンなら、直に薬を取りにくる。待って居たまえ、質問が有るならば尚更のことですな」
「……や、嘘です。質問ないです。」
「なら、今すぐレポート書き直していけ。」
「ちょ、待って教授!それって未来でも何でもない現在進行形でしょ!?」
「一時間後は、未来になるだろ…」
「屁理屈ですよ、教授!」
「妄想の未来より確実な未来だろう」
11.07.20 雪奈
リメイク15*07*16ゆきな