その他
□フェティシズム
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(行ってらっしゃい編)
今日はジャック編集部の新年会
実はこの日を、(吉田さんより私の方が)楽しみにしていた。
だって、吉田さんのスーツ姿が見られるから…
何より、私はスーツ姿の男性に萌える
いや、正しくは吉田さんが着るから、だと思う。普段の出社スタイルはラフな服装が多いから、今日は一段と特別に思える。
「じゃあ、果歩行ってくるよ」
「あっ、待って、吉田さんネクタイ…」
一緒に住み始めて、まだ間もない。私は未だに、吉田さんを幸司さんと呼べずにいる。
「…ん?ネクタイ?」
玄関のドアノブに手を掛けた所で、吉田さんが振り返った。
「ちょっと、曲がって………ないです。嘘つきました。」
曲がったネクタイを直すことに、憧れを持っただけ。後先も考えずに言って、いざ、本人を目の前にしたら、恥ずかしさの方が勝ってしまった。
「なんだ?ネクタイ直してみたかったのか?」
「…その通りです。」
あっさりと本心を見抜かれて、自分の考えの甘さを思い知る。
「果歩、直して?」
心の内で落ち込んだのを察してくれたのか、ネクタイをわざとずらした吉田さんの仕草にドキッとした。そんな吉田さんの優しさに触れ、更に胸が締め付けられるのを感じながら、ぎこちない手つきでネクタイを整えた。
「吉田さん…できました。」
「ありがとう。」
「…ごめんなさい」
「どうして、謝る?」
「吉田さんが、優しいから」
「俺が優しいと、謝るのか?」
「…はい。」
「なんだそれ?」
吉田さんは、笑いながらポンと軽く私の頭に手を乗せた。
「留守番よろしく」
「行ってらっしゃい」
スーツ姿の吉田さんが好き…でも、これは内緒だ。
いつもより、格好良く見える背中が、小さくなるまで見送った
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(お帰りなさい編)
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