その他

□おやすみ、また明日
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「先輩…眠れないの!!」

「はぁ?」

明日は久しぶりに先輩とデートだと思うとなんだか今夜は寝つけない
無しょうに堀先輩の声が聞きたくなって電話したのに塩対応だ!ちぇーっ


「眠れないのかい?お姫様…眠るまで僕が傍にいるよ…とか言ってくれてもいいじゃないですか!」

「あのなー、どちらにお掛けですか?それを求めてるんなら鹿島に電話しろっ!こちらは(俺は)管轄外です」

「まさかの事務対応!…先輩、酷い」

「ハハハっわりぃな、眠れなくて切羽詰まった感じじゃねぇーだろ?早く寝ろよ」


「じゃあ!愛してるって囁いてください!そしたらオヤスミ3秒します」


「は、…(まだ言うか)」

スマホの向こう側で困惑しているだろう先輩を想像したら顔がにやける

甘い言葉が欲しいのは本心なんだけど…

「はやくー!はやくー!」

「一回しか言わないからな?よく聞けよ?」

「はーい」

仕方ねぇな…と先輩が一呼吸置いた
スマホを耳に当てながら、わくわくしながら言葉を待つ

「夏帆…ばぁーか!さっさと寝ろよ、言えるかボゲェ!」

耳に刺さったかと思うほどの声音で怒鳴られた

「だ、騙された…」

「騙される方がアホなんだよ」

してやったり!って顔をしてるであろう先輩の姿が目に浮かぶ…私の目には、うっすら涙が浮かびそうだ

ん?待って…最後、ボゲェ!って…
それは、王様の台詞じゃないですか?
もしかして、貸した漫画を読んでくれてるのかな?って思ったらなんだか嬉しくなってきた

「先輩は…今、何してるんですか?」

「俺か?漫画を読んでた…この前、俺に押し付けたバリボー漫画」

「ですよねー!いっぽん切るべ…って言ってください」

「イヤだ。いっぽん切る前に、電話切るぞ?まだ眠くなんねぇーのか?明日、待ち合わせの時間に遅れたら置いてくからな?」


「ん、ふふ…先輩?一人で行くの?動物園」

「行く!」

なんですと!?今日はなかなか手厳しい…

「オヤスミします…遅刻はやだ!」

「うん、俺も楽しみにしてる。夏帆…おやすみ、また明日」


やっぱり最後はキュンとするくらいの甘い声でおやすみ、って聞かせてくれた

電話を切った後で、ジタバタとベッドの上で悶えながら…ヤバイ!これは癖になりそうだと思う

私の1日は先輩の“おやすみ”がないと終われない気がする


END
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