宝物

□ ・お弁当(バカップルに30題)
1ページ/2ページ



『コレ食べてください!!』

そう言って後輩男子が堀ちゃんに渡した手作りのお弁当。
彼女とか作らないと思ったら、そういう趣向だったんですか?

「五十嵐、勘違いすんなよ?」

「えっ?でも、このお弁当、すっごく美味しそう…」

「ピンクのハートマークさえなけりゃあな。なあ、お前はまだ食べてねーんだよな」

「さっきお茶買ってきて、今から…」

「じゃあ、お前のヤツ寄越せ」

「えっ?」

「野崎の料理の腕は認めるけど、こんなの俺が食える訳ねーだろ」

「なるほど。でも、今日はお母さんじゃなくてわたしが作ったから」

「毒でも入れてんのか?」

「自分で食べるお弁当に毒なんか入れる訳ないでしょ」

「じゃあ、いいじゃねーか。いただきます…」

堀ちゃんは前の席から椅子を持ってきてわたしから弁当を取り上げた。
まだ食べていいなんて言ってないよ。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ