タイトルなんてない。

□3・SCOTCH
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「甘いな、零……」


公安の部下達やFBIの連中に見られてなくて良かった……って?

「残念〜!俺がみてるぞ、零。お空の上からな?
ったく、相変わらずだな。バーボンもライも直ぐ喧嘩する」

天国での生活は悠々自適だけど、少々ツマラナイ。
現世の映像を、古ぼけた昭和式テレビで観るのが、最近の楽しみだ。

「なぁ、諸伏。警視庁ってゴリラ飼っても良いんだっけ?」

ヒョイと肩越しから映像を覗き込んだ同期の松田が、暢気に煙草を咥えた。

「ハハハッ。確かになぁ……。メンチ切り合ってバナナ食ってたら、ゴリラにしか見えねぇーわ」

「んー?なんかさ、降谷と互角に戦ってる奴、どっかで見た…………。あれだ!観覧車の上でライフルバック背負ってたイケメンじゃんな?なんなの?まだ揉めてんの?」

「いや、う〜ん。ありゃ挨拶みたいなもんだと思うけど……」

年季の入ったテレビゆえに、時々音量が聞き取り難い。
ベシっとテレビを叩くと、

ガガガガ……機嫌の悪い音を出し更に悪化した。

「バッカだなぁ。諸伏、こういう時は撫でるんだよ!焦りは禁物だ」

「ふーん、最大のトラップじゃないのか?」

松田が猫でも撫でるようにテレビを擦って話し掛ける。

「テレビちゃ〜ん、お願い映して……」

コイツ、馬鹿かな?なんて思った瞬間にパッとテレビが正常に働き出した。


「「あっ。映った!!」」

再び、松田と一緒に画面を見入った。





◇◇◇◇



「…………俺も、"秀兄"と呼ばれてみたいだけなんだが……」

「貴様、実妹がいるだろ!!」

「真純じゃ、意味がない。名前さんがいい」

「はぁー?いい加減にしろよッ。だいたい何で、名前なんだ?勝手に出会うなんて、僕は聞いてない!!」


「ほぉー。馴れ初めか?出会いはTSU○AYAだよ降谷くん。"緋色の捜査官"の初版が最後の一冊しかなくてな。同時に手を伸ばして……結局、彼女に譲った。
何でも知り合いに、どうしてもプレゼントしたいと言っていて、なかなか健気な子だと思ったよ。まぁ、この3ヶ月で随分と距離も縮まったんだ。
先日、君が彼女と会ったカフェを教えたのは、俺だよ」

「ハイッ。始まりが最悪!!何ですか?その雑な導入(つーか、原因のその本……今、俺のポケットに入ってるんだよ!やっぱりあの時、コイツも店内に居たのか……ストーカーめ)

お前、それ以上話すな。聞きたくない」

「自分から聞いてきた癖にか?これだから、面倒なんだ。すぐに手が出るのもな……」

「面倒くさいのはお互い様でしょう?この、変態ストーカーが!!
これ以上、名前に近づくな」

「ほぉー。嫌だと言ったら?」


「力ずくで、離す(奪う)まで……」
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