名探偵コナン
□Booty
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「夏帆…そんなに、コレが欲しいのか?」
耳元近くで赤井さんが、ため息混じりに囁いた。
その声が…耳から直接、脳内を甘く揺さぶって首筋に掛かる吐息にゾクリと震えた。
官能的な振舞いでいて、それとは違う。
甘い雰囲気など微塵もないのに、その仕草が普通に出来るのだからこの男、なかなか憎い。
「もう、ヤメてください!」
恥ずかしい。とにかく恥ずかしい……。
でも、………………欲しい。
「大きな声じゃ言えないと、言ったのは夏帆だろう?小さな声じゃ聞こえんしな…」
程よくしてみたのに、何が不満なんだ?と赤井さんが言う。
「声量の問題じゃない!内密にって意味です…接近しなくてもいいでょ?背後で囁くのはヤメテ!無駄に婀娜っぽいのも、恥ずかしいから嫌!!」
「ほぉー。」
ジリジリと距離を縮めてきた赤井さんは、そのフレーズに反応してニヤリと笑うと、ピタリと動きを止めた。
「な、何んですか?」
じっ……と、見つめられて何がなんだか訳も分からず、慄いた。
「どの辺が"無駄に婀娜っぽい"んだ?詳しく聞かせてくれ」
赤井さんは、ソファに座り煙草に火を点けると、紫煙を燻らせた。
涼しい顔で聞かれても正直困る。
「嫌ですよ!」
本人を目の前にして、ソレを私に言わせるの?
そんな真剣な眼差しを向けられてもやっぱり困った
「じゃあ、こうしよう…意見を聞かせてくれたら、夏帆が喉から手が出るほど欲しいコレをあげよう」
くっ……!そうきたか!!
「狡いよ!それ…」
「どーする?欲しくないのか?」
欲しい…
欲しいに決まってる。
せせら笑いを浮かべた赤井さんの言葉は、もはや悪魔の囁きだった。
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