ハイキュー!!
□彼の部屋でベッドの下にエロ本を探してみる
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パタン。
ドアが閉まった後、静寂の室内に残された名無しは、漸く澤村にからかわれたのだと、気がついた。
「酷過ぎる!」
長い間、幼なじみだった名無しが、彼女へと昇格したのは、半年前だ。未だに友達の延長のようで、良くも悪くも扱いはあまり変わっていなかった。
そんな彼へと、何か……、一矢報いたい。
賢くない名無しが頭を捻らせ、澤村の部屋をぐるりと見回すと、
ふと、閃いた。
健全な男子高校生なら、誰しも一冊や二冊は持っているであろう、アレを探せば、澤村もぐうの音も出ない!
はず……。弱みを握って、仕返しをすればいい。なんだ、簡単なことではないか。
「よし!」
意気込んだ名無しは澤村の制服をハンガーに掛けると、
彼女がすることではない、暴挙に打ってでた。
探すなら、この部屋の主がいない今しかない。
とにかく時間は限られている。
「どこだ?エロ本」
本棚の前で立ち止まり、ざっと見渡してみるも、整理された本棚にあるのは、バレー雑誌と漫画。それから参考書がきっちりと並んでいる。
エロ本が紛れている気配すらなかった。
名無しは、思わず一番下の段に納められたアルバムを手に取った。
「うわぁ〜だいち…可愛い」
随分と懐かしい写真ばかりで、ページを捲る手が止まらない。
小さい頃の澤村に名無しは、眼福にあずかり心を奪われ、本来の目的すら見失いかけた。
「ふぃー。危ない。引っかかるところだった。
こんなところに、ハニートラップを仕掛けておくなんて!なかなか、大地も手強いな?」
もし、澤村がこの状況を知ったとしたら、
んな、わけあるかッ!と、突っ込みを入れてくるだろう。
しかし、彼はまだ部屋には戻っていなかった。