ハイキュー!!

□男子高校生の日常(烏野版)
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「おい、ヤベーって!そこのコンビニ、ポテト半額だよ!行こうぜ」

「「うおおおぉぉ…」」

練習の帰り道。

菅原が部員達を煽るように放った一言に、すぐさま反応した変人コンビが先陣を切って走り出した。

「旭さーん!俺達も行きましょう!!」

「お、おう…」


次いで田中と西谷が、東峰を引っ張って駆け出していくと、ペースを崩すことなく残った二年生と、少し離れて月島と山口が談笑しながら歩いていく。

いつもの見慣れた風景だ。

「本当、あいつら元気だよな」

「だな!」

最後尾で見守るように歩く澤村に、菅原も爽やかな笑顔を浮かべて同調した。

「だが、しかし。スガ…今のは本当にスガか?」

「な、なーに言ってんの大地?俺は俺だよ」

「ふーーん」

訝しげな主将の問いかけを耳にして、前を歩いていた月島がチラと後ろに視線を向けた。

(先輩たちの会話の意図が分からない)

「今日は風が騒がしいな」

澤村が特に良い声で響かせた台詞。
月島の脳内には、中二発言が専売特許の音駒のキャプテンが思い浮かび表情を険しくした。
一方、菅原は、あっさりと澤村に見抜かれて動揺を隠せずにいた。

「え、と。だいち…?」

「今の、男子高校生の日常ネタ…だろ?」

「あー。もう、大地には敵わないな…なんかさ、コンビニでポテトが半額になってると、思わず言いたくなっちゃうんだよね、俺。これって習性?習性か!」

「まぁ、誰も気づかないだろうな。自然だったし、中の人の仕事だからな」

ハハハと澤村が軽く笑い飛ばすと、菅原の肩をポンポンと叩き宥めた。

「中の人いうな!恥ずかしいべ〜」

「なんで、スガが照れるんだよ」

(なんなの?この会話…)

詰まるところ、最初から全力でネタだった菅原に対して、澤村が冷静に受け止め、しかも完璧に悪ノリに応戦したのだ。

他から見れば全く解りにくいうえ、当の本人たちは、無意識無自覚に絆を見せつけてくる。

「いや、ホントに勘弁してください」

「え、ど、どうしたの?ツッキー!」

「……なんでもない」

ボソッと呟いた月島に山口は頭上に大きな、はてなマークを掲げていた。

何故に聞いているこっちが恥ずかしくなるのか…。
被害者意識に苛まれた月島は、これが俗にいう烏野の夫婦か、と妙に納得したのだった。
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