東峰×西谷

□10月10日
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side 西谷

10/9、23:58。
ベッドの上で横になった状態で、
携帯を握りしめていた。

鳴るかもしれない。
……期待は出来ないけど。

でも、俺なら。
あの人の誕生日は誰より先に。
真っ先に、おめでとうって言いたい。

まあ、あの人の誕生日は。
一年の始まりでもあるから。
電話もメールも繋がり難いから。

『初詣行きましょう』

とか言って、大晦日から引っ付いて。
年が開けた瞬間に、言うんだ。

でも、あの人は鈍いから。
きっと「おめでとう」を新年の挨拶だと思うだろう。

それを違うって。
誕生日おめでとうって伝えたら。

きっと、びっくりして。
でも、優しく笑って「ありがとう」って言ってくれるはず。


そんな事を考えて。
ふと、我に帰る。

でも、俺は旭さんのただの後輩だ。

俺は旭さんが大好きだけど。
あの人は、俺をどう思ってるか、分からない。

後輩の中じゃダントツに仲良しなのは自覚してる。
てか、じゃなきゃ嫌だ。

それでも俺はただの後輩で。

「……旭さん」

名前を呼ぶだけで苦しくなるくらい。
いつの間にこんなに好きなったんだろう。


そんな事を考えている間にも時間は進み。

時計を見ると0時を過ぎて、10月10日になっていた。

携帯が鳴る気配は、ない。




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