nadir = zenith
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夜の8時半過ぎ。
小腹がすいて、家の近所にあるコンビニへ行った帰り、買った肉まんをさっそく食べながら帰ろうとほくほく顔で緩んだ気持ちでのんびり歩いてた。
その時に、ギョッっとする。
行きには気づかなかったが、珍しく立派な真ん丸満月で、しかも落ちてきそうなほどに夜空の視界いっぱいに迫るほどにでかく、怖くなるほどの赤い月だった。
月に魅いって、口をぽかんと開けて立ち止まり見上げた。
間抜けな顔だ。
右手にはホカホカ肉まん。
左手にはチップスやアーモンドチョコ、焼きプリン、リアルゴールドなどが入ったビニール袋を下げてた。
真っ赤な、真っ赤な、怪しくて怖い、輝く大きな月だった。