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□紡がれる時間
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青葉青城高校のバレー部においては最早特筆するまでもないこととなっているが、
自他共に認めるイケメン 及川徹 と
その世話係と化している 岩泉一 は

恋仲である。


男同士であるとか、場所がどうとか、誰かが見ているとか、そんなことは関係なくイチャつく2人(圧倒的に及川から)に、周囲はいまやそれが当たり前であるかのように感じていた。


そして気温が下がり、冷え込む季節となっては、二人の距離は一層縮まっていた。


_______
その日は夜から冷え込んで、部活帰りには指先がかじかむほどだった。



「い"わ"ぢゃ、ざぶい。」

「んなことしてると、折角の顔が汚くなるぞ。」

「俺は何やってもイ"ゲメ"ンだよ!」

「おー。」


もうすぐに雪も積もろうかという季節にコート1枚で来たらしい及川は、岩泉の両ポケットに背後から手を突っ込み、岩泉のマフラーに顔を埋めている。

周りから見ると及川はただの岩泉のくっつき虫だが、岩泉は諦めているのか、歩きにくそうにしながらもそのまま帰っている。


「「「出た」」」


「今年も始まってしまったよ松川…。」

「岩泉with及川の季節だな花巻…。」

「アレ、中3の時もやってました。」

「「まじか。」」


花巻、松川、国見の3人は嫌でも見慣れてしまった光景にため息を漏らしながら、ヨロヨロと帰る二人を見送っていた。


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