《夏戦・佳主馬2》
※前拍手話しの続き
「そういえば向葵はいつまでこっちにいるの?」
『ん? ……たぶん夏休みの間はいられると思うよ』
「ふ〜ん……」
『あれあれ〜? そこはこう“向葵お姉ちゃんとそんなに長い間一緒にいられるなんて嬉しい!”って言うところじゃないのかな〜?』
「ばっ!! 何言ってるのさ向葵!!!」
『あははっ、冗談なのにそこまで慌てなくたっていいじゃん! やっぱり佳主馬は可愛いなぁ』
「っ、向葵!!!」
『ふふ、ごめんごめん。そこまで怒らないでよ』
「次ぎ言ったら許さないからね」
『でも私は佳主馬とまた一緒にいれて嬉しいけどな』
「っ!!」
『あの頃みたいに遊べる……ってのは流石にちょっと無理か。背もおっきくなっちゃったしかくれんぼは難しそうだもんね』
「かくれんぼって、向葵本気で言ってるの……? そもそも背じゃなくて年齢的に考えてよね」
『む、佳主馬かくれんぼ好きだったくせにぃ。生意気っ』
「向葵が変わらなすぎるんだよ」
『言ったなぁ〜!!これでもくらえ!』
「わっ、ちょっ、だからそれやめろって!」
『あははははは』
「あれ? もしかして向葵ちゃん? 向葵ちゃんなの?」
『……。夏希姉? わ〜、夏希姉だ!!』
「向葵ちゃ〜ん!」
「うわっ」
ぽいっ
『夏希姉〜!』
ぎゅっ
「向葵ちゃん綺麗になったね。それに大人っぽくなった。やっぱ高校生になると違うね」
『そんな事ないよ! 佳主馬には変わらないなんて言われるし……、それよりも夏希姉の方が美人に磨きがかかっててびっくりしたもん!』
「え〜、向葵ちゃんだってすっごく綺麗になってるって。 佳主馬くんのはきっと照れ隠しよ」
「なっ!」
『そうかな〜? 佳主馬が照れる時ってもじもじして何も言えなくなってたから、照れ隠しじゃないと思うんだけど』
「それいつの話よ……」
『だけど佳主馬ったらぎゅってさせてくれなくなったの! あの頃は素直で可愛かったのに!』
「ぁ、当たり前だろ!!」
「ふふ、確かに向葵ちゃん変わってないとこあるかも」
『夏希姉までひどいっ。佳主馬のせいだ』
「向葵の自業自得でしょ。僕のせいにしないでよね」
「あ、ねえ向葵ちゃん。久しぶりに会えたんだし色々話し聞かせてよ」
『もちろん! 私も夏希姉に聞きたい事たくさんあるんだ』
「……」
「ほんと!? じゃあ、私の部屋行こっか」
『行く行く! あ、じゃね佳主馬』
「……、……ん」
『寂しくなったら向葵お姉ちゃんっておっきな声で呼んでいいから!』
「だ、だから!!」
『ははっ』
「っ」
あの頃じゃなくて今の僕を見て
(お? どうした佳主馬。そんな不機嫌顔して)
(侘助おじさんには関係無い)
(はぁ〜、可愛くないねぇ)
(っ、僕は可愛くなくていいんだ!!)
*****
佳主馬少年の恋は前途多難な模様。
ちなみに前話はこちら
拍手を押してくださいまして本当にありがとうございました!
何かありましたら下からぽちりどぞっ