短編集

□Team Guy
1ページ/3ページ


写真の中にいるあなたはあの頃と変わらないままで、それ以上、大人になることはない。

年を重ねるに連れ、
あなたを置いて、
私たちだけは成長していくんだね。




Team Guy








私の足はいつもの場所へ向けて進んでいた。
第四次忍界大戦が終わってから毎日この道を歩いている。

たどり着いた場所には先客がいた。

「ヒーナタ」

「!!……テンテンさん」

花を添えていたヒナタの手は止まり、振り返って私をとらえる。

「わぁ、ひまわりだ。きれい!ありがとヒナタ」

「そんな、お礼なんて。…テンテンさんこそ、いつも来てくれてるみたいで、ありがとうございます」

ヒナタは私に向かって大きく頭を下げた。
当然だよ、と言って笑ってみせたが、その笑みはヒナタの後ろに見える“それ”によってすぐに消される。


「………最近になって、やっと実感がわいてきた。ほんとにネジはもういないんだね」

目の前にある“それ”ーー墓には彼の名前が記されていた。



日向ネジ



仲間であり、かけがえのない友。


「……テンテンさん」

「ごめん、急に暗いこと言っちゃって。気にしないで!
それより、ヒナタ今日任務はないの?」

「いえ、ちょうどこれからなんです。その前にここに寄ろうと思って」

「そうなんだ。頑張ってね」

「はい!」

ヒナタはもう一度私にお礼を言うと任務に走っていった。

その背中が小さくなるまで見届ける。


………一人になってしまった。
いや、一人ではない。
いるじゃないか、目の前に。
大切なチームメイトが。


「今日は手ぶらでごめん。代わりにヒナタがお花持ってきてくれたよ」

こう毎日来ていると持って行くもののネタも尽きる。

今日は彼の隣に綺麗な黄色が添えられていて…
その明るさに自分の心との温度差を感じた。



「テンテン!」

声の主が振り返らなくても分かるのはほぼ毎日聞いているから。

「リー、どうしたの?」

「ガイ先生から30分後に一楽の前に集合と連絡がありました!」

ラーメンでもおごってくれるのかしら。
なんて思いながらその連絡を受け取る。


移動するにはまだ時間があるため、その場に座ったままでいると、リーが隣に来た。

「毎日来てるんですね。テンテンを探すとき家にいなかったらいつもここです」

「それは大袈裟すぎでしょー?」

「いえ、ホントです。それにしても、綺麗なお花ですね」

「ヒナタが持ってきてくれたの」

「ヒナタさんも来てたんですか」

「うん、ちょうど任務に行ったところよ」

「そうですか。あ、テンテン、今日用事がないなら僕と修行しませんかっ??」

「またー?たまには休みなさいよ」

「修行あるのみです!!もっともっと強くなりたいんで!」

リーの熱い思いを受け流しながらも、結局は練習に付き合う自分がいる。
仕方ない。もうこれが日課みたいなものだから。





次の日、任務もお休みで夕方まで家でゆっくりしていた。そろそろ動こうと家を出ると、ガイ先生と会った。

「テンテン、悪いが伝言を頼まれてくれるか?!」

「いいですよ。リーにでしょ?」

「さすが、よく分かってるな!
5時からリーの修行に付き合う予定だったんだが召集がかかってしまった!終わり次第向かうと伝えておいてくれるか?」

「任せてくださいよ」

「頼んだぞテンテン!」



ガイ先生は急いでいるらしく、颯爽とこの場から去っていった。

リーがどこにいるかの目星はついてる。
一つ目はもちろん、本人の家。

インターホンを押しても反応はない。
家にいないことは分かり、もう一つの場所へ進む。



一日の大半はここで過ごしているだろう三班が愛用している修行場所。

さっきまでリーが練習していたのかクナイや手裏剣が木に刺さったままだ。



ここにもいないということは、もうあそこしかない。
ちょうど私も行こうと思っていたところ。

ネジのお墓だ。リーの背中が見えて、やっぱりここかと笑ってしまう。 



「リー!!」

私の声に振り向くと立ち上がって手を振ってくる。
小走りでリーのところまで行くと二人並んでその場に座った。

ネジに手を合わせたあと、家から持ってきた和菓子をお供えする。


「リー、あんたに昨日の言葉そっくりそのままお返しするわ」

「そんなぁ、大袈裟ですよ」



──毎日来てるんですね。テンテンを探すとき、家にいなかったらいつもここです。



リーだって毎日来てるじゃない。
修行の休憩がてらにリーがよくここに来ているのを知っている。
任務帰りに私と来るときもある。

ほんとに私たちはネジのところへ通い詰めていると改めて思った。 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ