勇気をください

□7*オレは認めてねぇ
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「お前も忙しい奴だな」

「……」

「ベランダから落ちるわ、告るわ、フられるわ」

「いいだろー!別にぃ。
フられるって分かって告白したんだからよ」

「じゃぁそんな顔すんな」

「覚悟はしてたけど、実際そうなると
やっぱヘコむっつーの!!」


シカマルはいつものように屋上で空を眺めていた。
ひょいひょい付いてきたキバはパイプ椅子に座って同様に空を見上げる。

二時間目が始まるチャイムが鳴るのが聞こえた。

キバは退院してからの初登校でさっそく英語の授業をサボった。

「ナルトの奴、『サボるならなんで誘ってくれなかったんだよ!』とか言ってきそうだな」

「絶対言ってくるな。でも今はあいつの顔見たら色々思い出すからマジ勘弁」

「はいはい」

キバの心など無視するほど空は晴天だった。
暖かい日差しに誘われ眠気がおそってくる。


「シカマル」

「あ?」

「オレと付き合えよ」

「あっち行け」

「おま…意味違うからな!!決してお前が思ってるような意味じゃねーぞ!」

「分かってるっつーの!!誰が間違えんだよ!」

「分かってんなら話聞けよ!」

「どうせ女見つけに街でも行こって言うんだろ」


こういうことは初めてではない。

ナルトとヒナタがいい感じに仲良くしてる時なんかによくキバはイライラしてそんなことを言い出す。

けど、結局街に出ても「ヒナタより可愛い子なんていねぇし」という結果になる。

ろくに女に話しかけれないくせに…。

まぁ、しかしそんなのは口実で
ただ気分転換のために出かけたいだけということをシカマルは知っていた。


「……はぁ。………行くか」

「やっほーい!さすがシカマル!大好きシカちゃん!」

「その呼び方やめろ、離せ!」





3時間目の授業からは真面目に受け、放課の時間になる。

「チョウジ、悪りぃけど掃除当番代わってくんねぇか?」

「いいよー。
いつ言われるかと待ってたんだぁ」

待ってた、というのが引っかかり、言葉に詰まっているとチョウジがニコっと笑った。

「さっきね、キバもシノに頼んでたから。
街行くんでしょー?」

「あぁ。ちょっと行ってくるわ」

「行ってらっしゃい」

チョウジに見送られ、ドアの近くでソワソワしながら待ってるキバのもとへ行く。

なんでそんな落ち着きねぇんだよ。
デートでも行くのかお前は。




「え?!帰んの?!」

教室を出たシカマルとキバがそのまま玄関へ向かおうとすると廊下でナルトに呼び止められた。

今一番会いたくなかった人物に遭遇。

「どこ行くんだよ〜」

「買い物。いるもんがあってな」

いつもは誘ってくれるのに、と不満げなナルトだったがそれ以上は何も言わなかった。

「なんだよー。二人してー!!」

「お前は掃除当番だろ。早くしろ」

「サスケ、オレもあいつらと一緒に行くから当番代わってくれ」

「フン、このウスラトンカチめ。オレも掃除当番だ」

じゃぁ、他の人に代わってもらおうとナルトが友達を捜すのをサスケは慌てて止める。

このままにしとけばナルトは本当にキバとシカマルの後を追っていきそうだ。

今のキバにナルトがタブーなのは分かってる。


『………ちっ、なんでオレがこんなことを』

サスケは嫌々ながらも自分のポケットの中から財布を取り出し、お金があることを確認してから呟いた。

「………バイト代が入ったからラーメン奢ってやるよ」

「え?………………えぇ?!」

昨日が給料日だったため、財布の中には
いつも以上にお金が入っている。

まぁ、たまにはこういうのも悪くない。

「…サスケェ。バイト代入ってもいつもは奢ってくれねぇのに…なんかあったのか?」

「…………別にいらないならやめるぞ」

「いや、ホントありがと!めちゃくちゃ嬉しいってばよ!」


気合いを入れて掃除を始めたナルトを見て、
うまく誤魔化せたと分かりサスケは安堵のため息をついた。
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