Short Story

□無意識の領域
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今までおれはかずは可愛いんだとどれくらい言ってきただろうか。もう覚えていないくらい何度も言っている。だって、本当に可愛いんだ。
だけど、おれが何度可愛いと言っても、可愛くはないでしょ、とかずは照れたように笑うだけ。
かずは自分が思っているよりも、ずっと自分が可愛いという事に気付いていない。そこが大問題なわけだ。


認めるのは恥ずかしいし、心が狭いと思われるだろうけど、おれが一番気にしているのは、かずの無意識な可愛さにみんなが惹き付けられる事なんだ。

計算でやっている時はいいんだ。計算でやってるってみんな分かっていて、その上で可愛いと思うから、そこには意識的に何らかのセーブがかかる。
だけど、無意識の時はそうはいかない。計算でやっていないから、素のかずが見えるから、その可愛さに意識を持っていかれる。


頼むからさ、これ以上可愛い姿を晒さないでくれよ。かずに惚れる奴がまた増える。
かずは男女関係無く、年上年下関係無くモテるから、ただでさえ心配なんだよ。

なんて、そう思っている時点で独占欲が表れているよなぁ、と頭の冷静な部分で思う。
自分がこうも一人の人間を独占したいと思うようになるとは、人生どうなるか分からないもんだ。
まぁそれくらいかずが大事ってわけで。


指令台の上で、袖で手が隠れている、いわゆる萌え袖とかいうやつをやっている姿を見て、また心配事が大きくなる。
だからさ、そういう行動がほんとに可愛いんだって。かずがやるから尚更可愛く見える、っていうのは贔屓目だとは分かっているけど。


収録が終わったら、隣で楽しそうにしているかずに、少しだけおれが思っている事を伝えてみようか。
ちょっと情けないとは思うけど、ちゃんと言っておかないともっと心配になるから。
もう少しだけ、自分の行動に、自分の可愛さに、意識を持ってくれ、って。



((可愛すぎて心配なんだよ。))



End.

 
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