Short Story

□1992*4##111
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「“野球”」
「“ウォッカ”」
「“カリフォルニア”」
「“愛してる”」
「――っ!?ちょっ、翔ちゃん!!」
「あー!ニノちゃん、顔真っ赤!」
「うっさい!!あいばか!!」


今は完全に翔ちゃんのペースだ。いつもからかっている俺が翔ちゃんにからかわれるなんて。
顔が熱いから多分すげぇ顔赤くなっているんだろうな。全く、そんな不意打ちで言われたらいくらなんでも照れるだろ。

多分赤くなっている顔を隠そうとしたら、不意に後ろから抱き着かれた。顔だけ後ろに向けると、さっきまで爆睡していた大野さんが俺を抱き締めていた。なんか物凄く不機嫌なオーラを纏っているんですけど。


「あ、おはようございます。何でそんなに機嫌悪いんですか?」
「……かず」
「はい?」
「好き」
「へ?」
「愛してる」
「はぁ!?」


何、なんなのこの人。起きたと思ったら超不機嫌で。かと思ったら、急に好きだの愛してるだの言ってくるし。


「かず、愛してる」
「ちょっ、待って!!何!?急にどうしたの!?」
「リーダー、妬いてんだよ」


軽くパニック状態の俺の耳に、潤くんの笑い混じりの言葉が届く。潤くんの方を見ると、やっぱり潤くんは面白そうに笑っていた。


「妬いてる……?何で?」
「ニノと翔くんでしりとりやってただろ?で、名前呼ばれたり“好き”とか“愛してる”って言われて照れてるニノを見て嫉妬したんだよ、リーダーは」
「え、そんな事で?」
「そんな事じゃねぇ!翔くんの言葉で照れてるかずなんて見たくねぇ!」


珍しく噛み付くように話す大野さんを見て、顔が更に熱くなったのを感じた。こうも分かりやすく嫉妬されると、どう反応したらいいか分からなくなる。素直じゃない俺と違って、この人の言葉はいつだってストレートだ。


「……翔ちゃんにドキッとしたの、駄目だった?」
「駄目だ。お前はおれにだけしとけ」


翔ちゃんに言われた時と比べ物にならないくらい、心臓がうるさい。
あなたに言われたら、ドキッくらいじゃ済まないんですよ。こんなに俺を幸せにしてくれるの、あなたしかいないよ。
……なんて、恥ずかしくて言えないから。俺を抱き締める綺麗なその手に俺の手を静かに重ねた。



((あなたの言葉は特別なんだよ。))



End.

 
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