Short Story

□1992*4##111
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「どう?やっぱり変?」
「ん……あの時は俺爆笑してたけど、突然言われたら意外とドキッとするね」


男の俺でさえドキッとしたんだから、女の子には結構な効果があると思う。あの時は正直、それは無いだろ、って翔ちゃんを少しバカにしてたけど、案外不意に言われると変に思ったりはしないもんだな。


「え、まじで?じゃあまたこの前の企画みたいなのがあったら、この作戦で行くわ」
「んふふ、その作戦しか無いの?」


俺と翔ちゃんの笑い声が響く。すると、今まで椅子をガコガコと鳴らして遊んでいた小学生、じゃなくて相葉さんが俺と翔ちゃんの間に割り込んで座ってきた。何でわざわざ割り込んでくるんだか。


「二人で何してんの?楽しそうじゃん!」
「しりとりですよ」
「しりとりでそんなに盛り上がってたの?」
「だって、翔ちゃんがこの前の作戦使ってくるんだもん」
「あ、もしかしてしりとりの最中に好きって言うやつ?」
「そうそう。ニノ、続きやろうよ」


明らかにバカにしたように笑っている相葉さんを押しのけて、翔ちゃんが続きを催促する。


「じゃあ、“喫茶”」
「“猿”」
「“ルビー”」
「“イルカ”」
「“カズ”」
「へっ?」


えっと……もしかして、俺の名前?


「さりげなく名前呼ぶとか翔ちゃんやるね〜!ヒューヒュー!」
「それ古いな!ニノ、どう?ドキッとした?」


ここでドキッとしたと認めるのはなんか恥ずかしい。さっきから翔ちゃんに嵌められてる気がする。


「……“ずるい”」
「ははっ、“出雲大社”」


平静を装って出した声に、それを見越していたかのように翔ちゃんが笑う。あぁ、悔しい。

 
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