Short Story

□特権
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おれさ、にのがすげぇ好きなの。
男とかメンバーとか関係無いんだ。
それくらい、惚れてる。
どこが好きとかじゃなくて、気付いたらにのの全てが好きになってた。


本当は、この想いを全部伝えたい。
でもさ、出来ないんだよ。大切すぎて。
だって、想いを伝えたら、にのはきっと重荷に思うから。そのくせおれに気を遣って無理に笑おうとするから。
だから、言わないって決めてんの。どんなに好きでも、伝えないって。ただ傍にいられるだけでいいんだ。

……そう決めてんだからさぁ、そういう顔見せないでくれよ。頼むから。


「りぃだぁ〜」


真っ赤な顔でおれを呼ぶにの。照れてるとかじゃなくて、ただ単に酔っ払っているだけだ。
その赤く染まった顔がおれの鼓動を速くさせてるって事、気付いているわけないよなぁ。


「ねぇ〜りぃだぁ〜」


やけに間延びした声。こんなににのが酔うのも珍しい。何でこんな事になったんだか。いや、まぁおれのせいみたいな所もある。

仕事終わりににのに飲みに誘われて、ぼーっとしていてつい二つ返事でOKしたら、にのがめちゃくちゃ喜んでいた。そりゃ今までずっと誘いを断り続けてきたんだからその反応も不思議じゃないけど。
で、テンションが上がったのか、やけににのの飲むペースが早くて。あっという間に酔っ払っていたってわけだ。


「ねぇってばぁ〜」
「にの、どうした?」
「俺さぁ〜りぃだぁが好きなんですよ〜」


その“好き”がおれのにのに抱いている“好き”と意味が違うと分かっていても嬉しい。

あぁ、もしかしてこれって何かの拷問?
おれ、そんなに日頃の行い悪かったかなぁ。

 
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