Short Story

□不安定な存在
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楽屋に入った時から、なんだかニノの様子がおかしかった。いつもはリーダーの隣で嬉しそうに座っているのに、今日は何故か座らずに、リーダーの様子を見極めるように立ち尽くしていた。
絶対変だ。何かあったんだろうなぁ。

もしかしたら、翔ちゃんや松潤は気付いていないのかも。だって、二人はニノを気にしているようには見えないから。
でも、リーダーは絶対に気付いてる。ニノがリーダーに近付くのを躊躇う事自体がおかしいから。


「あれ?ニノ、何で立ってんの?座んないの?」


とりあえず、声をかけてみよう。単刀直入に聞いても答えなんて返ってこないのは分かってるから。


「……おはよ、まーくん」


あ、こりゃ結構深刻かも。だって、ニノが俺を昔の呼び方で呼ぶのって精神不安定な時だから。本人がそれに気付いているかは分かんないけどね。大体、表情が固いよ。無理やり笑顔を作ってる感バリバリだっつーの。


「ニノちゃーん、どうしたの?」


こういう時、無理やり聞いたって教えてくれないのは分かってるから、いつもよりも少しだけテンションを落として聞いてみる。
あ、でも心配だって顔に出ちゃったかも。俺、すぐに表情に出ちゃうから。だって、本当に心配なんだもん。

ニノの視線が一瞬揺れた。その先にいたのは無表情のリーダーだ。うわ、凄い負のオーラが出てるんだけど。リーダーって意外とヤキモチ焼くんだよな。俺がニノと話してたらすぐにあんな顔するし。


「……何でも、ないよ」


傷付いたような顔をして、自己嫌悪に浸っている目をして、ニノが苦笑する。
どうせ迷惑だとか考えているんだろうね。頭の回転早いくせに、自分の事になるとてんで駄目なんだから。

 
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