Short Story

□どんな君でも
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分かりにくく隠された優しさ。
気を遣われるのが嫌いな気遣い屋。
仲間を守るためなら何でもする意志の強さ。
捻くれているように見える純真さ。

好きな所なんて挙げ始めたらキリが無い。
それくらい好きだ。『好き』なんて言葉じゃもうこの想いは収まらない。


なのに、あいつはいつだって自分に自信を持っていない。テレビでは自信満々に振る舞うくせに。

自分よりも出来る人や素晴らしい人はたくさんいる、なんて言う。

それは多分あいつの性格が大きく影響しているんだろう。ああ見えてかなり謙虚だから。
それを否定する気は無いし、そういう所も含めて好きだ。


だけど、それはある意味傲慢だとも思う。だって、あんなにも才能に溢れているのに、それに気付かないなんてさ。

すらすらと溢れる歌詞とメロディは、聴く人に優しさと感動と時々切なさをもたらす。
自然な演技はまるでそのキャラクターがその場に息づいて存在しているような錯覚に陥らせる。
場の雰囲気と話の展開を読んで、ツッコミや時々ボケを混ぜながらさりげなく面白い方向へと持っていく。
記憶直がめちゃくちゃ良くて、大抵の事は覚えているし、ダンスの振りを覚えるのも早い。


おれは他人に才能があるって言われる事が多いけど、それ以上にあいつの方が才能に溢れていると思うんだ。

だけど、あいつはそんな事は欠片も思っていなくて。バカだな、と思う。本当にいい奴だとも思う。
そんなあいつが真っ直ぐに想いを届ける相手がおれで、本当に嬉しいし、幸せだ。


自分の才能を否定するあいつより傲慢なのかもしれないけど、どうかずっと傍にいて欲しい。傍にいさせて欲しい。
その真っ直ぐな瞳で、綺麗な心で、どうかおれの世界を彩り続けて欲しい。
愛してる、なんて簡単に言えないくらい、おれはあいつに惚れてるからさ。



((もうさ、ベタ惚れなんだよね。))



End.

 
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