infinite

□好きだけど嫌い。
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世の中の人は叶わない片想いのことを冗談めかして「死に至る病」だなんて言う。だけど僕はどんなに相手に恋焦がれて恋焦がれて、心臓まで焼き尽くしてしまっても、簡単に人間は消えることができないということをよく知っている。


「ホヤヒョンが...好き...嫌い...好き...」


道端に咲いていたきれいな花でさえも、僕の目にはみじめな自分を嘲笑っているかのように見えた。ポキリとその茎を折って、花びらをひとつひとつはがしていく。いっそ“嫌い”で終わればいいのに、と願いながら心のどこかで“好き”で終わることを期待している自分がいた。


「嫌い...好き...き、」
「誰が?」


しゃがみこんでいる自分の視界の中に突然、黒い影が映り込んだ。僕の隣に一緒になってしゃがみこんできたその人は、僕の手の中にある花をじっと見つめたままだ。

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