infinite

□アイツ
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僕たちはなんで終わりを迎えてしまったんだろう。




気が付いたらアイツの横には僕の代わりに違う男がいた。
すらっとした細身の長身。色白で奥二重のくりっとした目。その童顔とはミスマッチな黒髪の間からのぞく刈り込み。ところどころどことなく自分に似ている気がして、目を背けた。
あれだけ意固地に保守していたアイツの髪もいつのまにか明るい茶色になって、短く揃えられ、ワックスで立てられていた。カラフルな服に身を包んで、明るい髪色をして、恋人と寄り添って街を歩く、ごくありふれた若者。







僕といた時の面影を消してしまったアイツはもう、僕の知っている、僕の好きだったアイツじゃない。もうアイツを名前で呼ぶことなんてこの先ないだろう。
俺のところに戻ってこいとか時間が戻ってほしいなんてことは言わない。だけど、ただ、世界でたった一人だけでもいい、僕が好きだったキム・ミョンスという男のことを僕は絶対に忘れない。

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