btob

□その唇が憎いT
2ページ/2ページ

ある日のダンス練習終わり。
僕は先に練習室を出ていったウングァニヒョンを探そうと練習室を出たがなかなかみつからない。

ヒョンは今日ダンスのことでこっぴどく先生に叱られていた。
だからそんなヒョンが心配になったんだ。


あてもなく事務所内をさまよっていると非常階段の方からなにやら人の声がした。
それも、よく聞きなれた人の声。

僕は好奇心をおさえきれず、そっと非常階段のほうをのぞいてみる。

 

そこには、目っを真っ赤にして泣いているウングァニヒョンと、同い年のミニョギヒョン。


 

ミニョギヒョンとウングァニヒョンは正反対のような感じだった。
いつも冗談を言って人を笑わせるウングァニヒョンとは違って、ミニョギヒョンはいつも静かで淡々としていた。
そんなふたりが別段と仲がいい様子はなかった、のに、


目っを真っ赤にして泣いているウングァニヒョンはミニョギヒョンの胸に顔をうずめる。
そんなウングァニヒョンの髪を優しく撫ぜるミニョギヒョン。


「あんまり気にすんなよ」
「みんなお前の歌がいいってことは認めてるだろ。でもそれだって努力してできたことだろ。だからダンスだって一生懸命やってるところを見せてあとで認めさせればいい」
「それにお前が一生懸命頑張ってることはみんな知ってる」

優しくなだめるミニョギヒョン、とそれでもぐずるウングァニヒョン。

の唇にミニョギヒョンはひとつキスを落とした。
驚いた表情でミニョギヒョンを見上げるウングァニヒョン。
もうとっくに涙は止まっている。


「さあ、はやくみんなのところに戻ろう」
微笑みながら指でウングァニヒョンの涙を拭って立ち上がらせるミニョギヒョン。

僕は咄嗟に身を隠した。
なにか見てはいけないものを見てしまった気がして。



ふたりが去ったあとも僕はその場にへたりこんでいた。

ウングァニヒョンってあんな顔するんだ...みんなの前では弱音一つも吐かないのに、ミニョギヒョンの前では、あんな...



胸を刺すような痛み。
僕はただただ、ミニョギヒョンがうらやましくてたまらなかった。

前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ