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□君のとなり
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長かった冬も終わりを迎える頃、しばらく空部屋となっていた僕のアパートの隣の一室に、ようやく新しい住民が引っ越してきた。
僕はまだ引っ越してきたことを知っているだけでその住民と会ったことがない。このごろはご近所づきあいなんておざなりになっていて、都心の学生が多く住むようなアパートでは引越しのあいさつも交わさないのも普通のことだった。
なんてことも、本当は田舎から上京してきた僕にとっては初めは衝撃的だった。だけどさすがに大学生活四年目の今となっては習慣として見過ごせるようになっていた。