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□はざま
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僕はいままで女性に恋をしたことがない。
だってミンギがいるから。
僕の初恋はミンギだ。
僕がミンギを恋愛対象として好きだと自覚したのはいつだったか、ともかく僕は自分の初恋相手が男性だということに自分自身、驚かなかった。
女性よりもきれいな横顔。伏し目がちの目から垣間見える長いまつげ。白くて透き通った肌。アーモンド形の愛嬌のある目。肩ぐらいまであるサラサラの髪。女性や男性という性別の枠を超えて、美しいと思った。
ミンギを見ていると自然と笑みがこぼれる。いつまでだって見ていたいと思う。例えその肌に触れるのが僕だけじゃなくても。その甘えた声で僕の名前を呼んでくれるだけで僕には十分だと思う。
ミンギが僕のことをどう思っているかは知らない。ただの気の知れた同級生だとでも思っているだろうか。僕自身もミンギの気持ちを確かめるつもりはないし、自分の気持ちを伝えるつもりもない。
気まぐれなミンギのことだ。いまは僕という都合のいい男に依存しているだけなのかもしれない。夜遅くに出かけて帰ってきて男なんてみんな同じ、どうせ顔しか見ない、だなんて泣いて、どちらからともなく唇を合わせてベッドになだれこむのはお決まりのパターンだ。 やっぱり僕のことを分かってくれるのはミンヒョンしかいない、なんて赤い目をして言って。 だから僕は黙ってミンギの気の済むまで抱いてやってひとつのシーツにくるまって朝を迎える。それでも翌日にはけろっと前日の出来事を忘れたようにほかの男に抱かれに行くミンギ。だけどやっぱり僕はそんなミンギが憎めない。
だからそうやって今夜も僕は夜の街に消えていくミンギの後ろ姿を見送った。