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□片思い病
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「ヒョンは片思いしてる自分に陶酔してるんだよ」
それが二日前にイルフンに言われた言葉だった。「かわいそうな自分が好きなんでしょ？」とも言われた。ひどい言葉だと思う。四つ歳下の弟が言う言葉でもないとも思う。それでもイルフンの言葉は正しい気がするし、そうでない気もするのはなぜだろうか。
そもそも片思いなんてしたくてしている訳じゃない。いつも満たされない自分なんて、嫌だった。だって、自分を好きにさせるあっちが悪い。人を好きになることなんて不可抗力じゃないか。勝手に好きになって勝手に傷付くんじゃない。勝手に好きにさせて勝手に傷付けてくるんじゃないか。それでもその人を憎めないのも、嫌いになれないのも、その人が好きだからという理由以外に他ならなくて。
イルフンに対してじゃあお前は片思いしたことあるのかよ、という言葉は飲み込んだ。四歳年上というプライドもあったし、ここで言い返すのは大人気ないからだ。それに、元々自分の考えをひけらかすそうほうではないし、同情もしてもらいたくなかった。それなのに、なんで、イルフンは僕が片思いを、ミニョクを好きだと分かったんだろうか。