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□エゴイスト*
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ジスが重ねた唇、ジスと触れ合った肌、ジスと握り合った指、ジスと絡まりあった舌...そう思えば恋愛感情なんてこれっぽっちもない相手と体を重ねることなんて簡単なことだった。


「ジスは、いつもどうやって触れるの」
「んん…そんなこと…」
「ねえ、ジスはいつもどこに触れてる?」
「…あっ」
「正直に言ってみて。ジスより僕のほうがいいでしょう?」


質問の答えなど端から求めていなかった。耳障りな声は聞かないで集中していたかったから。ただ、一ミリでも、一秒でも多く、彼女を通じてジスを感じるために。


ジスより僕のほうが似合うと言ったのは半分本心だ。その手で、純粋無垢なジスに触れて汚してしまうくらいなら、穢れ切ってしまった僕に触れるほうが、まだいい。そうやって何かに取り憑かれたように僕は彼女の体に没頭していた。

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