喰
□現。
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「……。」
カナメは考えていた。
自分の体を上に乗せたまま、すやすやと眠る四方の寝顔を眺めながら。
四方の目を隠すようににさらりと掛かった髪を手でそっと退け、カナメはため息を吐いた。
「随分成長しちゃってもー…、僕なんてトーカちゃんにすらも身長抜かされそうだっていうのに。」
カナメは考えていた。
自分の成長が、明らかに止まっていることについて。
ウタや四方達と出会った時は、そんなに身長差は無かったと記憶していた。実際はカナメがそう信じているだけで当時からかなりの身長差はあったが。
カナメは四方の腹の上で寝転んだまま眉を寄せ、どこか不満げな目を向けた。
何故、成長が止まったのか。
「(食べてるものは変わらない、寧ろウタよりも蓮示よりも食べてる…)ストレスなのかなぁ…?」
この歳になっても子どものような顔つきに、体型など、カナメは気にしていたのだ。
あれやこれやと考えを巡らせながらこつん、と未だ眠っている四方の胸に頭を預けてカナメは小さく呟いた。
ストレスだとしたら、自分はそんなに弱かっただろうか、と情けなくなり眉を下げた。
目を閉じた事によって再度襲ってきた眠気に身を預け、意識を手放したカナメの耳には、四方の声は届かなかった。