ハイキュー中編2
□私の苦悩
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初夏の新緑が風になびく。ざわざわと鳴く緑の葉の力強さが。生命の息吹が。何だか今年は凄く身近に感じるんだ。だって、ねえ。私のとなりには
「どうした? ユリ?」
ふわり、笑う彼。旭くん。あなたが隣にいるだけで。私の世界は色を変えた。大袈裟かもしれないけど。だけど。
私は隣の彼を見上げて、ふわり、笑った。
「んー、旭くん、好き!」
のろけ。
そういわれればそれで終わりだけど。ただ私は。彼が好きで。そして彼も
「ん、俺もユリが好きだよ」
彼もまた、私を好きだといってくれる。彼の優しい笑顔が好き。頭を撫でる大きな手も。案外しっかりしてるところも。全部、私だけが知ってる、彼。
不意に、彼の手が私の手を包み込んだ。吃驚して手を引っ込めようとしたけど、逆に強く捕まれ、そのまま腕を引かれて彼の胸に仕舞われた。ああ、もう。
おずおずと、彼を見上げたら。ふわり。キスを贈られた。
ああ、もう。私はあなたで一杯です。このドキドキも、愛しさも。私を惑わす苦悩なんだよなぁと。ただ。その苦悩は嫌いじゃない。
だってそれは
ただの。
恋煩い
なのだから。
141011