姉と僕の夢

□呼び声は湖の底まで…
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身を任せてどれ位経ったのでしょう

長く短い時間漂っていたのでしょう

辺りは暗く
魚か何かの気泡がゴポゴポと上がって行くのが見えていました

暫くそうしてると

「……レナ………エ…ナ……エレナ…‼︎」

私の名を呼ぶ
あの人の声が聞こえたんです

何度も何度も私を呼ぶあの人に
私は会いたくなったんです

私が死してなお
私を何度も呼ぶあの人に

私は戻りたくなりました
あの人に会いたくなりました

だから行動したんです
水面に上がろうと
あの人に会おうと

ですが1度は死した身体
上手く動かずに水面に上がろうとしてもなかなか上がれませんでした

「(待ってて‼︎ お願いだから‼︎
すぐ行くから‼︎ 待ってて‼︎)」

水の中ましてや死んだ私から声なんて出るはずも無かったのに
それでも必死に叫びました




その時光が見えたんです

優しく 幻想的な 凛とした光

その月明かりの中
あの人は私に向かって手を差し伸べてくれました

私も手を伸ばし あの人の手を掴みました

するとあの人に一気に持ち上げられ
水の中から出ることができました

空気が一気に肺を満たし
私は噎せながらもあの人の
私を助けてくれたあの人の顔が見たくて顔をあげました

結論から言うとあの人の顔はその時は見れませんでした

ただ私はあの人の腕に抱かれ
あの人の胸に顔を押し付けられたんです

「おかえり…エレナ…」

あの人は泣いてました
私はその言葉を言われて涙が流れました
涙が出て止まりませんでした

「た…ただいま…ただいま‼︎」

しゃくりあげながらも私は何度も何度もただいまと言いました



今 私はあの人とヴァルツェと共に
仲良く暮らしています

これが私が体験した
呼び声は湖の底まで…〜月の奇跡〜
死した私を救ってくれた奇跡の話
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