企画処

□こころがきみを探している
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※樹里の妹


雪が降り、家の周りは雪に覆われ外にでることもできないくらいに積もった。
インドア派の私にしたら大して気にすることはない。
でも、今日は李土が私を訪ねに来る日である。
李土はこの寒い雪の中、会いにくる…
そう思うだけで、李土のために何かしてあげなくちゃっと心が弾む。



暖かい部屋。
外から来るのだからそれくらいは用意しなくては・・・



「…名前」

「きゃ、李土」



突然の李土の登場に驚く。
後ろから抱きしめられたのはいいけれど、李土の身体は冷え切っている。
雪の中、大変だったんだね。



「暖かいな」

「当たり前でしょ。李土待ってるの部屋の中だったんだから」

「それも、そうだな」



色の映らない瞳が私を捉える。
オッドアイの綺麗な瞳が・・・。



「李土は寒くないの?」

「名前がいるから、いまは寒くない」

「ならよかった。いま、紅茶淹れるね。だから、座って」



私の言葉に聞く耳を持たないようで、私を抱きしめたまま動かない。
これでは、李土の身体が持たないだろうに。



「ねえ、李土。離してくれない。動けないから」

「無理な願いだな。今日は特に」

「何でよ」

「剥きになるところが、樹里に似ているな」

「樹里と比べないで」



双子の姉の名前を出されてとたんに、機嫌が悪くなる。
これは、私が樹里と比べられることを嫌がっている証拠。



「樹里と比べるな・・・か」

「そうよ。比べないで。私は玖蘭名前。樹里とは違うの!!」



声を荒げてまで主張する。
そうしないと、気がすまない。
私は、樹里と違うの。



「わかっている。僕を誰だと思っている。名前、お前の兄だぞ」



わかっている。
わかっているけれど、樹里の名前が出てくるたびに不安になる。
李土は私より、樹里が好きなんじゃないかと。



「バカなことしたな・・・」



離された温もりはすぐにと頬に落ちてくる。
そして、ヤドリギが飾られた部屋へと連れて行かれた。



「何で、この部屋?紅茶、淹れなれないよ」

「いいから、黙っていろ」



強引な言い方に、少ししゅんとなる。
だって、冷たい声は嫌いだから。
でも、そんなことはすぐに忘れることになった。
李土の温もりが唇に触れる。



「・・・李土」

「ヤドリギの下でキスをするということは、わかっているな」



含んだ笑みが向けられる。
びっくりしすぎて、思考が一瞬、着いて行かなくなった。



「嬉しいよ、李土」

「泣くな。それくらいで、泣くとはな」

「バカ。嬉しいに決まってるじゃないの。好きなんだから、悠や樹里なんかより好きなんだから」




こころがきみを探してる



好きだよ。
小さいときの約束、覚えていてくれたんだね。
クリスマスの日に、ヤドリギの下でキスをしたふたりは永遠に結ばれる。
私が憧れていた話を、冗談と笑い飛ばした李土がしてくれた。
それだけで、嬉しい。



「僕も名前が好きだよ」



20111123
お題:確かに恋だった

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