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□将来宣言
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高校3年生になってから、真琴の様子がおかしい。
これは、私の真琴観察の結果だ。
大学生な私は常に真琴を観察しているわけではなく、たまに会った時とかの様子だよ。
それに、暇なときは蘭、連の相手をして遊んでいるし。


「今日も蘭と連がお世話になりました、葵さん」

「いいよ。暇だから。それにしても、よそよそしい話し方だね。マコちゃん」

「ああ、やっぱり気になるよね。葵ちゃんには敵わないな」


ははっと、笑っているけれど何だか元気がないのがわかる。
こんな真琴は、本当に何年ぶりに見るだろうか。
背伸びして、頑張って真琴のほっぺをツネってみる。
驚いた顔をしたから、私の中では満足した。


「何か悩み事でもあるの?あるなら、お姉さんが聞いてあげるよ」

「なに、それ…でも」


最初は笑っていたけれど、やっぱり悩み事でもあるかのように、表情がだんだんと暗くなっていくのがわかる。
真琴のことをそばで17年間見てきただけはあるな、と自分に関心する。


「葵ちゃんは、進路ってどう決めた?やっぱり、将来を考えてとか…」

「ああ、大学のこと。何も考えてないよ。だって、私いまの学部だって簡単だから受けただけだから、別に将来なにになりたいとかは決めてなかったな。もう、大学3年だから就職するかってレベルだし。ここから離れるのも嫌だから、公務員?みたいな考えだからな」

「なんか、葵ちゃんぽいね」


やっと、暗い顔がなくなったと思ったら笑っている。
私が真剣に自分のこと話してあげたのに、笑うことないのになって思うけれど、真琴には暗い顔は似合わないな。


「ねぇ、マコちゃん。そんなに、悩むんだったら私がマコちゃんを養ってあげようか」

「えっ?」

「これで、将来は安定したようなものだよ」

「じょじょじょ、冗談だよね」


顔を真っ赤にしながら、聞いてくる姿は可愛いな。
やっぱり、年下男子(真琴に限り)は癒しの元だな。
そんなことを思いながら、真琴を見ると耳までに真っ赤にしながら何か言おうと頑張っているけれど、声が小さくて聞こえない。


「養われる側じゃなくて、俺が葵ちゃんを養う側になるよ」


自暴自棄のような大きな声で、宣言された真琴の将来は、どうやら私の旦那様になることらしい。
聞こえはいいけれど、いまこの橘家のリビングでそんな発言をされた私の心境としては…これほど、大胆な告白はないだろう。
そのせいか、こっちは体温が上昇して真っ赤になった。



将来宣言


「お兄ちゃんと葵ちゃん、結婚するの?」


蘭の言葉で真琴が慌てているから、とりあえず笑えた。
あの言葉は告白かな?それとも、冗談かな?


20140905

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