ヴァンパイア騎士

□王冠をひきかえに
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誓うのは勝手。
だって、私は関係ないから。
でも、あの人にそんな屁理屈は通じない。



「やあ、僕のかわいい響華」

「堂々と、人の屋敷に入るのもどうなのかしら」

「そんなことは、どうでもいいだろ」



そう言いながら、後ろから私に近づいてくる。
窓を見つめる私は決して李土を見ない。



「あなたが容易に入っていい場所じゃないのよ。李土」

「だが、響華。お前は僕を受け入れる」



自信満々な解答。
そして、後ろから私を抱きしめる。
きつく抱きしめてくるから、少し骨が痛い…。
骨を折られてしまうのではないかというくらいに。



「李土…痛い」

「そうかい。お前は痛いのが好みじゃないのか」



せせら笑うかのように、耳元でのどを鳴らす音が聞こえる。
何を考えているかわからない笑い。
いつも、いつも。振り回されてばかり。



「本当に痛いの。兄様が眠っているのになんで、こんなにこの屋敷に来るわけ。樹里や悠はあなたみたいに頻繁に訪ねて来ない」

「あいつらと一緒にするな」



声が少し低くなる。
ああ、怒ったのね…

そっと、手を李土の髪へと伸ばし触る。
手を振りほどこうとしないのは、受け入れてくれた証拠。



「でもね。そんな李土が好きよ」

「そうか…」



後ろにいる李土の表情は読めないけれど、きっと口が弧を描いたように曲がっているんだろう。



「僕はお前を愛そう。響華」



李土の声は自信に満ちている。
きっと、私が心のどこかで李土を愛しているから。



「でもね、李土。私を愛していると言うのなら、玖蘭のすべてをちょうだい」

「困った純血の君だな。響華は」

「でも、そんな私の元に来るあなたはどうなの?」



窓から見える月を眺めながら言うの。
それは、暇つぶし。
長い時間を生きることに飽きたように。
李土が私に与えてくれるはずだから。



「おまえが望むならなんだって…だが、悠と樹里はどうするつもりだ」

「邪魔になるならいらない」



何も映らない瞳で答える。



王冠をひきかえに


私はあなたと共にいることを誓う。


20111022
お題:忘却線を越えて
裏設定:ヒロインの兄は依砂也くん

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