長編
□一章
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「佐吉、目が見えなくとも友がいれば生きていける。友が力をくれる」
目に光がなくなった日、父に言われた言葉。
「ですが父上、俺に友はいません」
今、父がどんな顔をしているか分からない。昨日まで見ていた父の顔、母の顔、兄の顔、全ての物が見えないのだ。
「っははは、いつか、佐吉にもできるさ!友はいつの間にかなっているものだからね」
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「秀吉様」
「なんじゃあ?三成」
「そろそろお帰りにならないと、おねね様の雷が落ちます。」
「そりゃあ大変じゃ!」
あの日から何年もたち、元服をした俺は秀吉様に使えていた。
毎日があの日とは比べ物にならないくらい楽しく、何一つ不便のない日々を過ごしていた。
そんなある日............
「治部は居られるか」
「......俺が治部少輔、石田三成だ」
「おぉ!貴方様が!!噂に劣らず美しいお方だ............」
「戯れ言はいい、何か用があってここに来たのであろう。用件を話せ」