V

□手を差し伸べる
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『羽衣狐・・・』

「・・・なんじゃ?」

リクオを抱えた羽衣狐が水に浸かるのを見守る
これで本当に終わりなんだ


『・・・冬樹に・・・あってやってくれないか?』

「・・・妾の愛子・・・冬樹か」

『そう・・・俺と晴明とリクオ・・・冬樹も合わせてあなたの愛子だ』

だからお願いします
そう言って頭を下げると
羽衣狐は笑って了承してくれた


『あ・・・』

リクオの傷が癒えていく
治ったんだ・・・


「妾はもう行く。冬樹に早く会ってやらねばな」

『はい・・・リクオのことはお任せください』

去っていく狂骨と羽衣狐に手をふる


「・・・羽衣狐・・・?父さん・・・?」

「・・・ここにいるぜ」

『俺もな』

どこかに言っていた親父が帰ってくる
今までどこ行ってたんだよ


『良かったな。治って』

「・・・蓮斗」

『まだ完治してるわけじゃねぇ無理すんな』

立ち上がろうとして痛みに顔を歪めるリクオ


「・・・ここは?」

『半妖の里の特別な場所だ』

「ここが・・・」

『リクオ・・・』

しゃがんでリクオと顔を合わせる
暫く無言で見つめ合い
何方ともなく笑って


『お帰り。リクオ!』

「ただいま!蓮斗!」

おでこを合わせて
幸せに笑った


「二人だけずりーぞ!俺も混ぜろ!」

『あはははは!』

「ちょ、父さん!」

リクオと俺ごと抱き上げて
笑う


『リクオ!帰ろう!本家に!』

「うん!」

「よっし!かえるぞ!」

俺達の帰る場所に
俺達の居るべき場所に


『帰ったら宴だぜ!』

「あんまりはしゃぐなよ!」
 

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