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□時はまってくれない
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「遊びましょう」

黒い髪に黒服
まっくろくろすけもビックリだよ
ごめんなさい。ふざけ過ぎました
この子が山吹乙女・・・


「蓮斗、リクオ・・・その娘は・・・」

「お父さん!」

時はまってくれない
原作も変わってくれない
知っているからこそ尚更怖い


(怖がるな・・・己を信じろ)

『うん』

妖の俺が励ましてくれる
お前地味にいいやつだな


(ふざけていないでシャキッとしろ)

へぇーい
お前相手だと心の声駄々漏れだから会話にならないんだよね
こころとの会話になってるからね


「このお姉ちゃんが遊んでくれたの!ね、蓮斗!」

『うん』

リクオの言葉に笑顔で頷く
内心めっちゃビビってますけどね


『お父さんも加わったし四人で遊ぼ』

「うん!」

俺の提案に
リクオも山吹乙女・・・いや、羽衣狐か
どっちにしろ嬉しそうに笑っている

四人で仲良く遊ぶ
三人共楽しそうで
自分だけ恐怖に耐えて
時々心を落ち着ける為に懐に忍ばせてある短刀に触れる

いやさ、短刀じゃないと
あからさまに持ってるとだめじゃん


「ねぇ蓮斗!何だろうあれ」

『リ、リクオ!?』

「リクオ、蓮斗・・・あまり遠くへ行くなよ」

俺の腕を引っ張って連れて行こうとするリクオ
すぐさまリクオの手を振り払い親父の所まで全力ダッシュ


『親父っ』

「蓮斗・・・」

既に山吹乙女の手に刀がっ
懐に手を忍ばせて短刀を親父に見えないように持つ

山吹乙女が刀を引く


『親父・・・さよなら』

「!?」

俺が言葉を放った瞬間
短刀で刀を防ぐ
しかし、その反動で短刀が俺の手元から離れる
原作にはない第二撃
けど、何故か予測できた
短刀が一撃目で離れるのも分かってた

だからこそ
親父にさようならと言ってしまったのか

突き出される刀
俺の腹に突き刺さる


「蓮斗!!」

「・・・いや・・・ああ・・・あああああぁぁぁぁあああああああああああああ!!」

声が遠い
傷口が熱いのに
体が冷たい
眠い・・・



「ひぇっひっひっひっ、そうじゃ悔やめ女!自ら愛した男を刺したんじゃぞ?できなかった偽りの子のふりをしてな!アッヒャヒャヒャヒャアア!」

煩いな・・・
俺は眠いんだ
寝かせてくれ


「そうじゃ妾は待ちかねたのじゃ」

羽衣・・・狐?


「孫に邪魔されたか・・・」

俺に近づき
頬に触れる


「ぬらりひょんの孫・・・か・・・しかし決して狐の呪いは消えぬ。血は必ず絶えて貰う、憎きぬらりひょんの血・・・」

「羽衣狐様、今のうちに鯉伴に止めを!こやつが生きていては邪魔になるだけ。今なら楽に殺せましょう!」

「まぁ待て・・・塵地蔵。妾は復活したところで機嫌が良い・・・それに妾も親じゃ。我が子が死に絶える絶望をよく知っておる・・・その絶望感を味あわせてやろうではないか」

「ぐぅ・・・分かりました」

背中を向けどこかに行く羽衣狐
ああ、眠い



「蓮斗!おい!蓮斗っ!」

『親父・・・俺眠い』

「寝るな!寝ちゃダメだ!]

必死に俺の傷口を塞ごうとする親父
そんなに力使うなよ・・・


『俺の・・・為に・・・治癒・・・能力なんて・・・使うなよ』

「お前だから使うんだろうがっ」

ああ、ダメだ
眠くてたまらない


「蓮斗?・・・おい!」

ごめん
親父
俺、寝るな
 

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