ディバインゲート

□嫉妬くらいするものだ
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『おい』

『はいっ!?』

『…畏まるな、鬱陶しい』

『………』

彼が口を開けば文句を言われている気がした。
気づけば青色の髪の男は何処かに消えてしまっていて、スルトと2人きりになった。

『…そんなに怖いか』

『はい』

素で即答。
言っちまったと口を慌てておさえるが、彼はとくに動じていなかった。

『慣れろ、今』

『ム、ムチャですよそんな…』

と、突然自分の腹になにかが触れた。
見ると、それは彼の腕であった。
後ろから片腕で抱きしめられているのだ。

『慣れたか』

『あ、あ、その、その』

かなり焦る名無しさん。
男の人に抱き締められたのは初めてだったから。

『なにが不満なんだ、なにが足りないんだ、お前はどうすれば満足する?』

『え…?』

ぎゅ、と抱き締める力が僅かに強くなる。

『嫉妬なんてしているわけじゃない。ただシグルズの奴とはあんなに話せているのに対して俺との会話はなんだ』

『…それを嫉妬というのでは?』

『黙れ』

『…………』


案外かわいらしいな、と、おもった。


『他のヤツらもそうだろう、俺だけだ。態度が変わるのは』

『ね、年功序列って言葉をご存知ですか…?』

『ならお前は他の奴と俺も同等に話すべきだと思うが』

『……』


なんだか勝てない気がした。
今度は難しい言葉を羅列させてきそう、そんな感じさえした。


『お前が慣れるまで離れる事を許さない』

『え』

ぎゅ、とまたほんのわずかに抱き締める力が強くなった。






──おわり───


ようは嫉妬して、自分と他の神との態度が明らかに違うからそれにも嫉妬して。
彼女が自分を恐れているのを良いことに、彼女が慣れるまで離れるなと命令して。
口では言えないけど、傍にいろ、と言っている、ようなかんじです。
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