創作

□1話
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太陽は真上の時刻。
カーテンを閉め切り、窓も閉め切った部屋で眠る青年がいた。

赤みの帯びた茶髪、身長は176p程でかなり細身、タンクトップの上に3Lサイズくらいの大きなクリーム色の服を着ている。

名をエリスト。

生まれながらにして、炎を操る所謂超能力を持ち研究者には興味を持たれ実験を迫られ、能力を奇妙がる普通の人間は彼から離れていった。

俺、友達なんて要らないから

超能力を持つと友達を傷付けるからとか、虐められていたからとかそんなありがちな理由ではなかった。
単に、絡むのが面倒くさいから、らしい。


「…ん」


と、ふと彼は目を覚ます。
のろりと起き上がり、目を擦りながら半目でカーテンを開け窓の外を見る。
しかし人らしき物は見あたらない。

此処は地上五階に位置するマンションの一室、当然誰かが登ってこれる場所ではないのだ。


「………気のせいか」


シャッとカーテンを閉めて再びベッドに寝転がる。その途端に家のチャイムが鳴らされる。

寝転んだところなのに、寝転ぶ前にしろよ。
と苛立ちながら彼は素足で玄関まで歩いて行く。


「おっはよー、起きてるー?」


低めな声が耳に届く。
聞き覚えのある声に彼は眉間にシワを寄せたまま、扉を開けた。


「お?起きてた」

「なんだよ…寝てたんだけど」


白髪に、人並み外れた白い肌に金色の目。
年齢は二十歳越、エリストと同い年。
…のくせして、学生用の白いカッターシャツに中に赤黒い長袖、ジーンズという服装。

名を、セオレム。
意を定理。

手ぶらだった。


「あのさ、腹減ったから食いに行かねーかって思ったんだけどさ」

「俺眠いんだけど、金やるから行ってこいよ」

「お前誘ってんの俺は!」


自分より10pほど身長の低い彼を軽く見下げた後、


「お前奢れよ」

「ごめんお金無い」

「…」


奢って貰うつもりだったらしい。
でも、彼は一度誘ってくると気絶させない限り諦めない程の男なので、エリストは面倒くさそうに


「…わかった」


と返事した。
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