ロードラ

□オレのセンパイ
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『ジュリエット〜!』


と、男の名前を呼ぶのは名無しさん。
名前を呼ばれた男は長い髪を揺らしながら振り返り、ニコリと明らかに作った笑みを浮かべながら『はい?』と返事をした。


『捜しても捜しても見つからないんだから…出てったのかと思ったのよ』

『…名無しさんセンパイ、オレはずっと居ましたけど』

『えっ』

『はは、目がイッちゃったんじゃないすか?』

『えー…そうなのかな』

『否定しないんすか』


なんでこんなのが先輩なのか。
と口には出さぬものの、いつもジュリエットは思っていた。

童顔だし、先輩という雰囲気はゼロだし、仕事っぷりは良いけど、とにかく誰もがイメージするような先輩、というものではなかった。


『あ、それでね…この資料なんだけ…っ!?』

『あっ』


パサパサ、と音をたてて資料が床に散らばる。
ドジっ子、というのが正しいのか。
二人はしゃがみ込んで資料を拾い上げる。

ふと、ジュリエットが横目で名無しさんを見た。



──キレイな唇。



『もう、なにしてるのかな、えへへ……、…なに?』


へらへら笑いながら資料を拾っていた名無しさんはジュリエットの視線に気付いた。


『あ、いや…センパイ、キレイな唇してるなぁって。グロスでも塗ってるんすか』

『なにもつけてないけど…でもリップクリームなら常に塗ったりしてるかなぁ』

『ふーん……ねえセンパイ、キスしましょうよ』

『え、え…??』



廊下の端、拾った資料を隣に置き名無しさんを壁際に追い詰める。

両足に己の足を入れ、逃げられないようにしてから壁に手をつく。

見下げれば、どう反応していいのか分からないまま焦っている自分の先輩の姿。


『センパイ、男こんなことされたことないでしょ?顔赤くなってますから』

『じゅ、ジュリエット…見つかったらどうするの』

『普通なら突き飛ばすだろ、なのにそんな事もせずに赤面して…この先どうなるか予想はついてるんでしょ。ちょっと期待してるんじゃないすか』


と言われると、ますます顔が赤くなる名無しさん。


自分の先輩がこんな人間だったのか、と知れて心なしか嬉しくなってきた。


『…任せてくださいよ、オレに』

と言うと、ジュリエットは唇を重ねてきた。


柔らかいものが触れて、仄かに香水の香りが鼻についた。

『ん、…?』

『……』


───なんか、鈍い。


全く反応しない。
簡単にいえば、自分の得意とするものが相手に通用しなくてむしろ平然とされているような感覚。
気に食わなかった。

舌を入れてみれば、僅かに名無しさんの肩が震えた。

それを感じ取ったジュリエットは、更に過度を増す。

相手の頭を支え固定させて、口内では相手の舌の裏を舐めてみる。


『…ッ、う……!!??』



びくびく、と更に震えている。

楽しくなってきたな、と思う。


ひたすら口内を犯して犯して、名無しさんが服の袖を掴んでいるのが分かった。
突き飛ばそうとしない自分の先輩。



『んん、うっ…』



ひたすら卑猥な水音をたてて、相手が股を閉じるほどに官能的な刺激を与えられたところで、

相手の両足にいれた自分の足…否、太股でグッと股に刺激を与えた。



『っ、う、…んっ!』



なんでこんなに夢中になるほど、自分の先輩を犯しているのか。


我に返って、唇と足を離した途端、名無しさんはジュリエットの服を掴んだまま床に尻餅をついた。



『…っと、センパイ、気持ちよかったでしょ?』

『っ、ばか…!』


赤面して、互いの唾液で濡れた唇をこちらに向けながら##NAME1#は睨みつけてきた。


『なーんも反応しないから、センパイ感じないのかと心配しちゃいましたけどね』

『う…』

『イイもの見れましたよ。ほら、立って、センパイ』



手を差し出され渋々その手をとる。




『ねぇセンパイ、その資料届け終わったらまたやりましょうよ』

『い、いやよ』






─おわり─

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